あえてディーゼルを搭載、WLTCモードの燃費も併記

それも電動化のハイブリッドではなく、独自のスカイアクティブ技術を落としこんだ、クリーンディーゼルエンジン搭載の3列シート車の設定である。マツダは「地球環境保全へCO2を大幅低減したマツダのSKYACTIV-D 2.2は、大トルクと静粛性の改善でガソリン車と遜色ない。今後の欧州規制強化もクリアできる自信がある」(小飼社長)とし、ディーゼルエンジンへの向かい風にも動じる様子はない。

日本国内市場における最近の需要構造は家族構成と共に変化している一方、多人数乗りへの要望と高級車志向の流れもあるため、マツダはSUVラインアップの拡充で対応することとした。最上級SUVモデルではコスト、燃費、排ガス、軽量化のいずれも改善し、3列シートへの工夫も施したとしている。

高級車志向の顧客にも訴求したいCX-8

また、クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」については、新たな「WLTCモード」燃費(詳しくはこちら)と従来の「JC08モード」燃費を併記し、より実燃費に近いカタログ燃費を示した。それによると、1リッターあたりの燃費はWLTCモードで市街地12.5キロ、郊外15.3キロ、高速道路18.0キロとなっている。さらに、72リッターの燃料タンク容量により、東京~九州間を給油なしで走りきる1,137キロの航続距離も実現させている。

ディーゼル逆風はむしろチャンス?

欧州では、ディーゼル排ガス不正問題から電動化、EV転換を宣言したフォルクスワーゲン(VW)を筆頭に、ディーゼルエンジン主流から電動化戦略に切り替える自動車メーカーが続出している。

しかしマツダは、こうした逆風下においてもクリーンディーゼルエンジンに自信を持って臨む姿勢を変えておらず、むしろ「SKYACTIV-D」をアピールするチャンスと捉えているのだ。

ディーゼル逆風とも言われる現状は、マツダがクリーンディーゼルエンジンの真価を示すチャンスかもしれない

マツダの次世代車戦略における電動化の位置づけを見ると、2019年からはマイルドハイブリッドと並存させる形で、トヨタと共同開発するバッテリーEVの新投入を予定するなど、トヨタとの資本提携をいかしたプランを公表している。しかし一方で、マツダのDNAとする内燃機関の進化にもこだわり、内燃機関の進化(深化)版を投入する二面作戦を計画している。

その方向からも、今回の「マツダの手作り3列シートSUVディーゼル車」による国内市場開拓の動向が注目されることになる。