Nutanixは9月15日、都内でカンファレンス「Nutanix. NEXT ON TOUR IN TOKYO 2017」を開催した。同イベントでは.NEXTテクニカルセッションとして米Nutanix テクノロジーディレクターのジャスティン・ハースト氏が「Nutanixの持続的なイノベーションおよび今後の方向性」と題し、講演を行った。今回、その模様をレポートする。

冒頭、同氏は7月に発表したマルチクラウド対応でアプリケーションオーケストレーションとライフサイクル管理を提供する「Calm」と、最新のクラウドサービス「Xi Cloud Services」を搭載したソフトウェアスタック「Enterprise Cloud OS」の次のステップとして、VM、コンテナを超えてアプリケーションの理解を深め、同じアプリケーションを複数のクラウドにおいて一元管理し、導入展開することについて触れた。

同氏は「ビジネスを推進するためにアプリケーションの展開が存在し、アプリケーションを本当に理解しなければフルスタックの会社とは言えない」との認識を示す。

米Nutanix テクノロジーディレクターのジャスティン・ハースト氏

そのような現況を踏まえ、ハースト氏は「今後、われわれがカバーする領域として『多様なアプリケーション・環境・データセンター・拠点における展開』『選択の自由』『ビジネスの推進のために自動化の活用によるインテリジェンスの提供』の3つの分野が存在する」と述べた。

従来と次世代、双方のアプリケーションに対応

まずは、多様なアプリケーション・環境・データセンター・拠点における展開に関して、SQL ServerやOracle、SharePointなど従来のアプリケーションと、Dockerやkubernetes、Hadoop、Splunk、TensorFlowをはじめとした次世代アプリケーション双方の導入について説明した。

同社は、従来のアプリケーションに対してはスムーズな移行、ボトルネックの排除、オールウェイズオンを提供するという。データベース(DB)のXtractを提供開始し、顧客にとってデータの移行や更新などは時間とコストの負担がかかるため、DBの分野にもスムーズな移行環境を提供し、データスキャン、設計、導入、移行の4つのステップで構成されている。

データベース(DB)のXtractの概要

また、テクノロジープレビューの仮想マシン(VM)のXtractは、自動的かつエージェント不要でESXiから同社のハイパーバイザーであるAHVにVMを移行し、ニアゼロのダウンタイムでカットオーバーのコントロールを可能としている。例えば、3層のアーキテクチャにおいてVMwareで運用している場合には、AHVを運用環境に移行することがワンクリックで実現できるという。

仮想マシン(VM)のXtractの概要

さらに、ストレージに問題が発生すれば、ネットワークにも問題があるなど、1つ問題が発生すれば、ほかのインフラにも問題が発生することから、同社はアプリケーションの運用に注力できるような環境を整備するためハイパーコンバージド、スケールアウトのSDN(Software Defined Network)向けの新しいツールとしてX-Rayを開発。

X-Rayの概要

そして、ソフトウェアとハードウェアのスタックでも技術革新を実現しており、新しいストレージ技術としてNVMeを導入する。加えて、従来のストレージのボトルネックをハイパーバイザー内で解決するAHV Turbroの開発に成功し、すべてのVMに対して直接フラッシュメモリへのアクセスを可能にしている。そのほか、ネットワークに対して負荷が大きいアプリケーション向けにRDMA(Remote Direct Memory Access)を活用し、ネットワークの距離を短縮することでノード間の遅延を縮小している。

同社では、これらの技術を組み合わせ、仮想化基盤であるNXシリーズの新ソリューションとして「NX 9030」を近々出荷する予定だ。数百万のIOPSを1ミリ秒以下の遅延で実効し、40GbEをまかなうことを可能としており、SAPやオラクル、SQL Serverなど負荷の高いアプリケーションに向いているという。

「NX 9030」の概要

一方、次世代のアプリケーションへの対応では「次世代のアプリケーションを展開する際、従来はアプリケーションの開発者がけん引していた。そのため、例えばITがサービスを提供することができないならばユーザーは、パブリッククラウドでDockerやHadoopなどを使用し、必要なサービスを受けようと考える」とハースト氏は指摘。

そこで、シングルプラットフォームでモード1の従来のアプリケーションをサポートし、モード2のアプリケーションとともに運用する環境を構築する必要があるという。つまり、セキュリティを担保しつつ、開発者が必要な技術も提供する環境が必要であり、ワンクリックでkubernetesなどのアプリケーションを実現するほか、DockerやTensorFlowをはじめとした機械学習も同社はサポートしている。

次世代アプリケーションへの対応の概要