LEOMOが手がけるモーションセンサー「TYPE-R」は革新的なデバイスだ。アスリートのトレーニングへの向き合い方を大きく変える可能性があるからだ。LEOMOが手始めに取り組む自転車競技では、有力なトレーニングツールとなりそうだ。

LEOMOが手がける「TYPE-R」

なぜ自転車から始めたのか

人の動きは数値に置き換えれば、可視化できる。それができればアスリートのパフォーマンスも技術もあげられる。これがLEOMOが開発するモーションセンサー「TYPE-R」のコンセプトだ。そんなLEOMOがビジネスとして、最初に取り組もうと考えたのが自転車競技だった。

LEOMO代表の加地邦彦氏(撮影:磯崎 威志)

なぜ、自転車を選んだのか。それは加地氏にとって自転車競技が最も参入障壁の低いスポーツに見えたからだ。加地氏は経営者ではあるが、自身も自転車競技に取り組んでおり、トップアマチュアとして国内のトップカテゴリー「Jプロツアー」で活動している。自身の知識を生かして、誰に何を話せばいいかわかっている。周囲には自転車業界のキーマンがおり、彼らの人脈もたどれば、世界へもアプローチが可能となる。

そして何よりも、自転車競技が最も科学的なトレーニングが確立されていると思ったからだ。スピード、ケイデンス(回転数)、心拍数、パワーを計測・表示し、デバイスを見るのが一般化しているのが自転車競技だ。ビジネスを考えれば、自転車よりもランニングのほうがよさそうだが、加地氏は「心拍計さえ使わないトップアスリートがいる。その市場にモーションセンサーといっても、飛ばしすぎているように思えた」(以降、明記ない場合は発言同氏)という。

デバイス開発の観点からも利点はあった。ランニングであれば軽量化が求められる。しかし、自転車であれば、多少、重量のあるデバイスをつくっても気にならないと思った。とりあえず、前に進めるには、自転車競技が一番都合がよかった。