「watchOS 4」での「ワークアウト」アプリの強化も見逃せない。これまでは、あるワークアウトに取り組んでいたら、それを終了させ、別なワークアウトを選んでといった風にしなければならなかったのだが、例えば、トレーニングジムで、今はこれ、次はあっちと、運動を中断せず、次々にエクササイズマシンを乗り換えてワークアウトを計測するのが可能となる。トライアスリートにもピッタリな機能強化と言えるだろう。「プールスイミング」のワークアウトでは、オートセットの機能が組み込まれ、休憩、セットごとのペース、泳法ごとの距離が自動的に記録できる。高強度インターバルトレーニング用には、心拍数と動きをモニターできるアルゴリズムが採用され、激しい有酸素運動中に消費したカロリーの正確な計測が可能となった。スポーツウォッチ/アクティビテイトラッカーとしては最強レベルに進歩したと言って過言ではないだろう。

「ワークアウト」アプリが大幅強化

「アクティビティ」アプリも機械学習で進化した。Apple Watchを装着した時点で、パーソナライズされた進捗状況の通知が届き、好調を維持できるよう、細かなメッセージが送られてくる「スマートコーチング」機能が搭載された。これまでは、達成されていないゴールに対して「あと少しです!」という応援が送られるだけだったかが、好調を維持できるよう配慮がなされている。例えば、昨日は良く歩きましたね、今日は走ってみましょうかといった風に。

一日の終わりに応援が必要なタイミングをApple Watchが判断し、ゴール達成のための具体的な提案もしてくれる。リングを完成させたりゴールを達成するたびに、華やかなフルスクリーンエフェクトでお祝いしてくれ、モチベーションも保てるように、プレッシャーもいい感じで受けとれるようになった。自己ベストを記録したり、連続で達成したり、大きな目標に到達した時にはバッジも獲得できる。

すべての人にフィットネスをということで、車椅子を使っているユーザー向けに、様々な操作の仕方や路面の起伏などを考慮したアクティビティトラッキングも引き続き搭載。車椅子専用のワークアウトも用意し、2種類からチョイスできる。

詳細な情報を取得できるようになった「心拍数 App」

心拍数測定も精度が上がる。「心拍数 App」を使えば、いつでも心拍数を確認できる。アプリを開いて少し待てば心拍数が計測され、一日を通じて、安静時や深呼吸時、ウォーキングや運動をしている時、運動後の回復時の心拍数を確認できる。これは健康状態を把握するのにとても役立つ機能と言えよう。Apple Watchは認可を受けた医療機器ではないが、医療の現場をサポートするのにとても頼もしいデバイスになりつつあるのだ。

フィットネスマシンとApple WatchがNFC経由で同期

そして、watchOS 4の目玉、「GymKit」がその真価を発揮する時ももうすぐだ。これにより、Life FitnessやTechnogymなど世界的メーカーのフィットネスマシンとApple WatchがNFC経由でペアリングできるようになる。対応するマシンは、実に市場の80%をカバーする。スポーツジムのフィットネスマシンはApple Watchが持っていないデータを持っていて、逆にApple Watchは持っているけど、フィットネスマシンが持っていないデータがあるのだが、これらをペアリングすることで統合して扱えるのだ。この機能については、未だ筆者は試せていないのだが、これまで相互に扱えなかったデータが同期するので、非常に正確な測定がデバイス管理の手間をかけずにできるようになるとのことだ。

ジョブズの時代は「音楽」に強いイメージのあったAppleだが、クックの時代になってからは、それを継承しつつ、「健康」に強いイメージを固めつつある。今回のwatchOS 4とApple Watch Series 3の進化は、ある意味、象徴的な出来事だったと、後年、評価されるのではないだろうか。