静止画についても、センサーの高速化の恩恵を受けることになる。撮影した瞬間から次の写真のシャッターを切ることができ、連続してシャッターを切る場面でストレスを感じることはなくなるだろう。色の再現やディテールの表現は大きく向上しており、光学手ぶれ補正も刷新され、より安定した撮影が可能になる。

飛行機の機内で撮影した写真。暗い機内とカラフルなLEDを上手く表現することができた

夕焼けが雲に映り込む情景。こちらも細かく揺れる暗い環境ながら、進化した手ぶれ補正機能によってシャープで豊かな色合いを写し出すことができた

特に変化を感じたのは、暗い空間での写真撮影だ。暗所ではノイズが出やすく、ある程度仕方がないと割り切るしかなかったが、iPhone 8のカメラは、暗所に非常に強くなった。例えば飛行機の暗い機内で写真を撮影しても、カラフルな照明の発色は良い。

結婚式を4K/60fpsで撮影した様子。滑らかな動きで、画像も破綻せず、編集したあとに静止画を切り出しても十分な高画質が得られる。iPhone 8のiMovieで編集

加えてLEDフラッシュにはスローシンク機能が用意され、長時間露光とフラッシュ撮影の組み合わせによって、夜景でのポートレート撮影をより美しく、自然に実現することができるようになった。これも、一眼レフカメラのフラッシュ撮影のテクニックを、iPhoneのカメラとフラッシュだけで実現してしまったのだ。

写真という概念を変革してきたiPhoneは、プロのカメラマンが使っているテクニックをシャッターボタンのワンタップで実現する仕組みを次々取り入れている。同時に、Live Photosのような、iPhoneならではの撮影機能を用意し、写真をさらに発展させている。

iPhoneを真下に向けて撮影する際、中央に「+」マークが現れ、iPhoneの水平のポイントを合わせることができる水準器機能がついた

iPhone 8は、シンプルに扱えるカメラながら、写真、ビデオで非常に多くのテクニックを手に入れられる、カメラとしての楽しみが最高潮に達した製品になった。加えて、サードパーティー製のアプリを活用することで、その楽しみはさらに広がる。カメラの進化だけを目的にiPhone 8を選んでも、十分な満足が得られる仕上がり、と評価することができよう。