【レポート】

京王電鉄の新型車両5000系、デビュー前に試乗「京王らしくない」走りを体感

台風の接近する中、若葉台駅4番線ホームに悠然と入線したのは、9月29日から通常列車での営業運転を開始する京王電鉄期待の新型車両5000系だった。抽選で選ばれた100組200名を対象に、9月17日に試乗会が行われ、一般の参加者らが多数乗車した。

京王電鉄の新型車両5000系。正面がシャープだ

若葉台駅では試乗会記念セレモニーが開催された

若葉台駅では試乗会記念セレモニーが開催され、新型車両5000系の入線と同時にテープカットが行われた。直後に参加者らが乗車。10時37分にドアが閉まり、発車を待つ。座席は少し硬めになっているものの、座り心地は良く、むしろ乗客にとっては心地の良いものだろう。通勤に使用される車両としては、おそらく最上のものではないだろうか。

当日はゲストの1人、ラジオパーソナリティの玉川美沙さんが車内アナウンスを担当した。発車時刻や座席転換の案内、当日の予定などを話す。

「京王らしくない」スムーズな走りを味わう

新型車両5000系は10時40分に若葉台駅を発車。列車はなめらかに走り出した。これまでの京王の電車、とくに古くなった7000系は力強い走りをしている。だがそれゆえによく揺れ、長年の疲労というものもまた感じさせられる。

一方、この5000系は走りのなめらかさという点において、京王線の最近の車両である9000系や、相互直通運転を行う都営新宿線に導入された車両よりも優れていると感じる。加速の際のマイルドさと、進行方向に向いた座席がマッチし、ゆったりとした気分になれる。いままでの京王線の車両の力強さからは想像もできない走りだ。

10時45分、いったん京王稲田堤駅で停車。ここから先は多摩川を渡る。相模原線でクロスシートの電車に乗り、進行方向を向きながら多摩川を渡るという新鮮な気分を味わえる。京王多摩川駅を通過すると、地下トンネルに入り、10時49分に調布駅に停車する。しかしドアは開かない。もちろんホームドアも。

調布駅は京王線の主要駅であり、この駅を通るすべての営業列車が停車する。ちなみに筆者の自宅の最寄り駅でもあり、よほどのことがない限りこの駅で必ず降りる。その調布駅を進行方向に向けて座ったまま、ゆったりと通過するのは不思議な気分であった。

国領駅を通過して地上区間に出ると、列車は密集した住宅地の中を走る。クロスシートだけに、特急列車でJR中央線に乗っているような印象を受ける。

ドア間の座席はクロスシート・ロングシートに転換可能

10時53分につつじヶ丘駅に到着。列車はここで進行方向を変え、高幡不動駅へ向かう。それに合わせて座席の向きも変えることになる。座席の肘掛けの後ろ側にオレンジ色のレバーがあり、そこを引きながら座席を押すと回転する。多くの参加者が座席の向きを変え終わったころ、列車はつつじヶ丘駅を発車し、こんどは下り線に入っていった。

車内は静か、音響関係の性能の良さも引き立つ

列車の走行中、玉川美沙さんの車内アナウンスに「さすがプロだなあ」と聞き惚れていたところで、車内アナウンスの音質が抜群に良いことに気づく。京王電鉄の広報に聞くと、「KEF」という英国の音響機器メーカーによるものだという。担当者が自らさまざまなスピーカーを試し、このメーカーのものに決めたとのこと。

車内にはフリーWi-Fiの電波も飛んでおり、座席ごとにスマートフォンなどを充電するためのコンセントも設置されている。進行方向を向いたドア間のクロスシートだけでなく、窓を背にした車端部のロングシート(優先席)にもコンセントが設置してある。しかも、車端部の席は一般の座席より幅が広くなっているそうだ。新宿駅から京王八王子駅まで、あるいは橋本駅までの利用が想定されている座席指定列車にふさわしい装備といえる。

車端部のロングシートの優先席。コンセントも設置

スマートフォンの愛用者に便利なコンセント

車内はWi-Fi完備。「ナノイー」で空気もきれいに

今回の試乗会では、ラジオパーソナリティの玉川美沙さんをはじめ、「鉄道BIG4」として知られる「ななめ45°」の岡安章介さんとホリプロマネージャーの南田裕介氏、京王電鉄のイメージキャラクター「プラットガール」の横田美紀さんがゲストで参加。列車がつつじヶ丘駅を発車した後、車内アナウンスを通じてゲスト4名によるトークショーが行われた。「これは京王っぽくない」と南田氏。それだけ革新的な車両なのだ。ただし、連結部の渡り板が黄色く塗り分けられており、そこがやはり京王らしいとのこと。

その後も岡安さんと南田氏を中心に、新型車両に搭載された設備を紹介しつつ、来年春から運行開始する有料の座席指定列車の停車名や愛称の予想などで盛り上がった。

「京王らしい」と感じさせた黄色い渡り板

列車は調布駅付近の地下区間を過ぎ、聖蹟桜ヶ丘駅の手前で多摩川を渡る。車窓風景など郊外電車の雰囲気になっていく。ゲストによるトークの中で、車内の静かさも話題になっていた。筆者が乗車したのはモーターの付いている8号車ではあるものの、「本当にモーターが付いているのか?」と感じさせられるくらいの静かさだった。その静粛性が、車内アナウンスの音質の良さをいっそう引き立てる。

高幡不動駅に到着すると、列車はふたたび進行方向を変える。こんどは1駅だけということもあり、座席の向きは変えない。自然の中に分け入るように勾配を上り、11時34分に多摩動物公園駅に着いた。

新型車両5000系、沿線住民からも「好感をもって迎えられそう」

多摩動物公園駅では、クロスシートからロングシートへの自動転換が実演され、外観・車内を自由に撮影できる時間も設けられた。新型車両5000系は試乗会の参加者だけでなく、駅に集まった多くの鉄道ファンらに囲まれた。試乗会当日は雨にもかかわらず、各駅や沿線に多くの鉄道ファンらが集まっており、改めて注目度の高さを感じさせた。

多摩動物公園駅にて「特急 京王八王子」の表示も

新型車両5000系は都営新宿線への直通運転も可能だが、当面は新宿~京王八王子・橋本間を中心に運用されるようだ。京王電鉄によると、他に高尾山口行や多摩動物公園行のリクエストもあったという。なお、この車両にはトイレはない。乗車時間から考えると、トイレは必要ないとの理由だという。

京王電鉄では初となる座席指定列車の車両として、沿線住民や鉄道ファンの期待を集めている新型車両5000系。筆者が乗車した印象からも、この車両は好感をもって迎えられそうだと感じた。ゆったりとした座り心地で快適さを味わうことができ、クロスシートはもちろん、ロングシートの通常列車であっても利用者から歓迎されるだろう。

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