仮想通貨は「安全」な投資先なのだろうか?

仮想通貨については懐疑的な声も多かったが、国内でも徐々に取引を可能にする企業が増え始めており、マイニング事業については、DMM.comもGMOの発表した翌日にマイニング事業への参入を発表するなど、日本でもマイニング事業に参入する企業が現れ始めてきた。

一方で、最大の仮想通貨利用国家といえる中国が、ICO(仮想通貨の発行による資金調達)を全面禁止して、元建てのビットコインが暴落するなど、不透明な状況もある。また犯罪組織などが資金洗浄や取引用に仮想通貨を利用するなど、健全性の問題を指摘する声もある。

何より実態のないデータ上だけの取引だけに、例えば先日話題になった太陽フレアによる大規模な電磁波障害があってマイニングセンターが故障した場合、採掘したビットコインが失われてしまったりすると、一体どのようなことになるのか、検討もつかない。

一方で、人員も投資も最小限で済むマイニング事業は、実際の鉱山経営などと比べればはるかにコストも安く、安全性の高い事業だと言える。万が一、仮想通貨の採算性が取れなくなった場合でも、マイニングセンターをデータセンターとして転換することは可能だろう。ある程度の演算力を確保してしまえば、収入の計算が立てやすいという点も経営的には魅力的だ。

「なぜ、今」という疑問について、GMOは納得できる合理的な回答を返してくれたと思っている。あとは「採算性はどうか」という問題が残る。今の所マイニングセンターの建設も始まっていない段階であり、本格稼働する来年までに、どんな新技術が登場するかはわからない。GMOが成功すれば追随する企業も登場してきそうだが、速度と演算力がものをいう市場だけに、勇気を持って先端を切ったGMOの判断に敬意を表したい。