――確かに仕方がないですね(笑)。最近は、番組内での発言が思わぬ火種になることもありますが、コメンテーターとして炎上リスクがあることは頭の片隅にはありますか?

このワイドショーの流れになったのはみんな同じだから、同じように考えながらみんなやってはると思います。僕は頻繁にネットニュースを見るタイプではないんですけど、賛否の「否」の部分が多くなった方が結果的には議論が活発になって、いいような気もしますね。

――発言の一部分がネットニュースに使われて、発言の真意が歪曲して世の中に広まることに困っているとトークライブなどで話していらっしゃいましたね。

最近は、まぁそういうもんなんだろうなという感じになってきましたね。そこに変に目くじら立てている感じでもないです。

――最近はテレビだけでなく、Amazonプライムでも番組に関わっていらっしゃいます。「テレビ番組」と「ネット配信番組」は、お笑い芸人として切り分けてるんですか?

「テレビでできないことをやろう」という感じではやってないです。好きなことをやらせてくれるというのでやっているだけで。僕にとっては、ちょっとした「遊び場」が増えたような感じです。

――『千原◯ニアの◯◯-1GP』でも、打ち合わせから参加されているそうですね。その場で考えるんですか?

会議室の参加者は、全員何にも持って来てませんからね。「どうしましょ?」と言われて、「うーん……」みたいな感じで、そこから考えています。

――ジュニアさんのアイデア待ちみたいな状況ですか?

はい。はじめてやるチームなので、最初の頃は合わない時もありましたけど、だんだん僕のやりたいことが伝わってきているような気がします。

「笑い声」を求める、芸人の軸足

――そのほか、俳優をやられることもありますね。コメンテーターなども含めて、それぞれ別の仕事という位置付けですか?

いえ、共通していると思います。たとえば、ドラマの現場はバラエティの現場とは違うので、そこに行ったことによって起きる摩擦とか、バラエティの現場では絶対に見ることができない光景です。それを「こっち」に持って帰ってきて、それこそ『チハラトーク』でしゃべったりとか。ドラマの現場ならではのトラブルに巻き込まれて、それを『すべらない話』で話すとか。何かそうやって「持って帰って来る」ものがあるので、そういった意味では共通しています。

――常に軸足はお笑い芸人であると。

そうですね。

――お笑い芸人としてのモチベーションは何ですか?

やっぱり、笑い声でしょうね。それは一番大きなことで、難しいこと。コントライブなんて、「今から面白いことをします」と予告して始まるようなもので。こんな怖いことないですよね。めちゃくちゃ怖い。何年やっていようがドン滑ることなんて全然有り得ますから。

――それだけ精神的なプレッシャーがかかるコントライブをやる上で、SNSは集客においても重要なツールだと思います。芸人さんで使っている方も多いですが、ジュニアさんが使わないのは何か理由があるんですか?

いえ、理由なんて全くないです。ただ、取り残されただけです。誰も声を掛けてくれなかった。「えっ? あの後、二軒目行ったん?」みたいな感じです。もう家に着いてシャワー浴びたし、いまさらもうええわみたいな。SNSを使わないことについては、何の思想もないですよ。

――ということは、これからやる可能性も?

そうですね。ないこともないと思います。ただ、今から行ってもね。行った頃にはお開きちゃうの?みたいになってないか心配です。

ブレない軸足を支える妻の存在

――楽しみにしています(笑)。2年前にご結婚されて、仕事に対する考え方、向き合い方に変化はありますか? 周囲では結婚を機に、それらが変わったと言う方が結構います。

今のところ、全く変わってないですね。昨日も後輩と朝4時半くらいまで飲んで帰るような感じで、生活サイクルも変わってません。明日も京都行きますしね。奥さんはそのことについて何も言わないですし、それが仕事というのも理解してくれているので。「外に出て面白いことがないか」みたいな感覚を今のところ分かってくれているので、全然変わらないですね。奥さんとは昼飯を食べるぐらいで。そのあたりは、子どもができたら大きく変わるのかなとは思います。

――結婚以前では、誰かと一緒に住むことに抵抗があるとおっしゃっていたのですごく意外です(笑)。

そうですね(笑)。結婚した当初は突発性難聴で耳が聞こえにくくなったり、40度の謎の高熱が出て倒れたこともありました。メンタルでは全然そんなこと思ってないんですけど、フィジカルが悲鳴を上げるという(笑)。ホンマに向いてないんやなと思いましたけど、2年経って今は普通ですね。

――奥さんが仕事に対する理解があると。

ええ。あとは、あまり感情の起伏がない人なんですよね。これがヒステリックだったり、テンションが低めだったりしたら、しんどいでしょうね。ブレずに同じところに居続けているような人で良かったなと思います。

■プロフィール
千原ジュニア
1974年3月30日生まれ。京都府福知山市出身。身長180センチ。O型。1989年6月に兄・せいじとお笑いコンビ・千原兄弟を結成。1994年に「第15回ABCお笑い新人グランプリ」で優秀新人賞、1994年に「第29回上方漫才大賞」で新人賞を受賞。俳優としても活躍し、2000年に公開された映画『HYSTERIC』で「第10回日本映画プロフェッショナル大賞」主演男優賞を受賞した。『にけつッ!!』(読売テレビ・08年~)、『世界の村で発見!こんなところに日本人』(テレビ朝日系・08年~)、『ダラケ!~お金を払ってでも見たいクイズ~』(BSスカパー!・14年~)、『ビビット』(TBS系・15年~)などの番組に出演中。Amazonプライム・ビデオで『千原◯ニアの◯◯-1GP』「千原兄弟『チハラトーク』セレクト」配信中。9月21日(木)・9月22日(金)には、単独ライブ『1P』(いちぴー)を草月ホールで開催予定。