これまでにない商品も「市場性は十分」

まず、日本のSUV市場は成長している。マツダ国内営業本部の高場武一郎氏によれば、SUVの市場規模は2013年あたりまでは年間20万台そこそこだったが、直近3年くらいは同40万台レベルとほぼ倍増しているという。市場が伸びるに伴ってニーズも多様化しており、この流れは今後も進んでいくというのがマツダの見方だ。CX-8の市場性は十分と高場氏は語る。

マツダは年齢、性別、家族構成などでCX-8のターゲットカスタマーを定めていない。ターゲットとするのは、「他人に流されず、自分の世界を持っており、自分の進む道は自分で決めたいと考える人」(松岡主査)であり、そういった人達の中で、多人数乗車や3列シートのニーズがある顧客にCX-8を提供していきたいという。

分かりづらいかもしれないが、3列目に座ったときの視界はこんな感じだ

CX-8はミニバン市場の全てを狙える商品ではないかもしれないが、既存のSUVではニーズに合わず、かといってミニバンには飽き足らない思いを抱いているような人にとっては、クルマ選びの選択肢に入れたくなりそうなクルマだ。マツダが創造しようとする新しい市場が、果たしてどのくらいの規模まで拡大するのか、CX-8の売れ行きに注目したい。

マツダ車で乗り継ぎ続けたい人には朗報

マツダはCX-8で新たな市場を創造しようとするが、このクルマにはもう1つ、重要な役目がある。それは、マツダの新世代商品群を補完することだ。

「顧客と強い絆で結ばれたブランド」(高場氏)を目指すマツダは、例えば販売面の改革でブランド価値の向上を図ったり初代「ロードスター」のレストアに乗り出したりと、ファンの維持・拡大や満足度向上に力を入れる。

マツダファンは例えば、「ロードスター」や「デミオ」などでカーライフをスタートさせ、その後は「アクセラ」であったり、「CX-5」であったりという風にマツダ車を乗り継げるわけだが、人生のステージが変わって、多人数乗車の必要に迫られた場合は、新世代商品群でチョイスできる選択肢がなかった。そこに登場するのがCX-8というわけだ。このクルマがあれば、サイズアップもサイズダウンも全てマツダ車で完結させることが可能になる。

マツダの新世代商品群。CX-8が加われば、対応できる客層の幅も広がる

マツダは近く、次世代商品群の商品展開をスタートさせる。次の世代に移行しても、マツダとしては幅広いファンに幅広い商品群を提示していきたいところ。そのためにも、多人数乗車の選択肢となる新型CX-8で成功を収めることが重要と松岡主査は話していた。