生命保険協会や生命保険会社が、様々な健康管理アプリを提供しています。歩数計やカロリー計算など単体ならば無料アプリはいろいろありますが、生命保険会社が提供するだけあって健康管理に役立つメニューや情報などもそろっていて、一歩進んだ内容となっています。

ほとんどは契約者でなくても無料で利用できますから、上手に活用すれば手軽に健康管理ができそうです。

健康管理の基本はやっぱり「歩く」こと!?

生命保険会社が提供している健康アプリには、どんなものがあるのでしょう。主なものをまとめたものが下図です。

生命保険会社が提供する主なアプリ

これらを見て、気がつくことはありませんか? そう! 歩数に注目したアプリが多いのです。歩幅や速さを意識して歩くことは、筋肉量の減少を抑えたり、心肺機能を向上させたり、免疫力を高める効果があるといわれます。加入者が健康である=保険金支払いの減少につながる生命保険会社が注目するということは、やはり「歩く」ことは健康にいいことの証といえそうです。

政府も「健康日本21(第2次)」の目標のひとつに「日常生活における歩数の増加」を掲げ、20~64歳の目標値を男性は1日9,000歩、女性は1日8,500歩としています。しかし厚生労働省の「平成27年 国民健康・栄養調査」によると1日の歩数の平均値(20歳以上/100歩未満5万歩以上の人は除く)は男性が7,194歩、女性が6,227歩です。これらのアプリを使えば自分が日常的にどのくらい歩いているかを知るだけでなく、歩くことへのモチベーションもアップしそうです。

楽しみながら、健康管理への意識が高まりそうなコンテンツも

歩くだけでなく、ゲームやSNS感覚で楽しめそうなものもいろいろあります。中から、特徴あるサービスをピックアップして紹介しましょう。

第一生命保険が今年3月に公開し、約2カ月で50万ダウンロードを超えた「健康第一」。話題を集めているのが、自分の顔写真を入力すると年齢を重ねた将来の顔や、体重の増減で変化する顔を表示するFaceAI機能です。見るのが怖いような気もしますが、自分の変化を客観的に見ることで、健康への意識が高まりそうな気がしませんか。

健康管理のために歩くことから一歩進んで、ダイエットを目指したい人に役立つのが損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「Linkx reco(リンククロス レコ)」。体重や食事、歩数を記録するだけでなく、日替わりで「10分エレベーターを使わずに階段で」「20分お風呂掃除をする」といった課題を提案。管理栄養士が監修する健康献立が毎日配信されるなど、続けるための仕掛けが考えられています。

歩くことで社会貢献になるのが、マニュライフ生命の「Manulife WALK」。アプリ内の「SHOES DONATION(くつの寄付)」に参加すると、累計で男性は13万歩、女性は12万歩をクリアするとカンボジアの子供たちにシューズを1足寄付することができます。

家族で情報共有することで「見守り」も可能に

太陽生命が認知症治療保険加入者向けに公開している「認知症予防アプリ」は、被保険者の認知症リスクを歩行速度から判断するだけでなく、指定した家族(3人まで)と情報を共有することが可能。1時間ごとの歩数を確認することができるので、離れて住む親の安否確認ツールとしても利用できます。

アクサ生命の「アーユーOK?」も、管理者と家族でグループを作ることで、シニアの活動を確認したり、家族間でコミュニケーションをすることができるアプリ。スマホ画面の「助けを呼ぶ」をタッチすると、アクサ・アシスタンスの緊急時サポートサービスへ電話がかかるという機能も付いていて、しかも現時点ではお試し期間中のため無料で使うことができます。

今後は更に進化し、様々なものがリリースされることが予想されます。保険選びは商品の内容や保険料だけでなく、アプリの充実度が比較項目のひとつになる日が来るかもしれません。


鈴木弥生
編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。