Microsoftは2017年10月31日~11月1日(英国時間)に、イギリスのロンドンで企業向けカンファレンス「Future Decoded」を開催する。下図は公式サイトに掲載された登壇者リストだが、Microsoftのデバイス担当CVPを務め、"Surfaceの父"としても知られるPanos Panay氏の名前が確認できる。
海外IT系メディアのThe Vergeは同氏が基調講演に登壇する理由として、「Surface Pro LTEモデルとARM版Windows 10を搭載したノートPCが発表されるのでは」と報じている。数あるSurfaceファミリーの中から何が発表されるのか、その日を迎えないと分からないが、「Surface Book」や「Surface Hub」の新モデルが登場する可能性もある。
あれこれ考えてみても、Panos氏が登壇するのであればSurface Pro LTEモデルの線が濃厚だ。既報のとおり日本マイクロソフトは、Surface Pro LTEモデルを2017年秋頃にリリースすることを公表済みだ。9月1日に開催したMicrosoft Japan Partner Conference 2017 Tokyoでも、日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏が同様の説明を行っている。
もし、Surface Pro LTEが発表されるとして、気になるのはSIMの形態である。Surfaceファミリーで最初にWWANをサポートしたのは2015年6月に発売したSurface 3 LTEモデルだが、個人向けはY!mobileブランド、法人向けはSoftBankブランドで販売した。ただし、SIMロックはかかっていないため、個人が契約したSIMを挿すことも可能だと、当時の日本マイクロソフト担当者は説明していた。
最近は日本国内でも"格安スマホ"のおかげでSIMの単体購入が浸透しつつあるため、Surface Pro LTEモデルも何らかのSIMカードスロットを用意するのだろう。
SIMに関しては2016年8月に仏Transatelが発表した「Microsoft SIM」の存在も無視できない。同社の説明によれば、Windowsストア上から「Cellular Data」を入手し、Microsoftアカウントに紐付けしたクレジットカードなどで、Transatel製SIMカード用にデータ通信プランを購入する仕組みのようだ。
本件についてMicrosoftは公式にアナウンスを行っていないものの、Microsoft Community上で「MicrosoftはWindows 10デバイスを各種モバイルネットワークに接続可能にする携帯データアプリをテスト中だ(先のCellular Dataを指す)。 携帯データアプリは同社のWindowsストアに公開されているが、Microsoftはまだサービスの計画を発表していない」と回答している。
察するにFuture Decodedでは、Surface Pro LTEモデルの発表とともにMicrosoft SIMを大々的にアピールするのではないだろうか。もっとも同イベントはデジタルビジネスの未来像を提供する場であり、登壇者リストを見ればAI系の発表が中心となるだろう。
また、Microsoft Windows and HoloLens Experiences General Managerを務めるLorraine Bardeen氏の登壇も予定されていることから、「Microsoft HoloLens」や「Windows Mixed Reality」関連の話もありそうだ。
ただ、"HoloLensの父"として知られるMicrosoft Windows and Devices Group Technical FellowのAlex Kipman氏は登壇しないようなので、「Microsoft HoloLens」の次世代版というよりは、LenovoやDELLなどサードパーティーベンダーが発表したWindows Mixed Reality対応ヘッドセットを訴求するのではないだろうか。これらを含めてFuture Decodedでどのような発表がなされるのか楽しみにしたい。
阿久津良和(Cactus)