Windows MR対応HMDの登場でPC向けVRの普及に弾み

ここ数年来、大きな盛り上がりを見せているVRやAR、そしてMR。ドイツ・ベルリンで実施された家電・ITの総合見本市イベント「IFA 2017」では、今年もVRやARなどに関する新製品や展示が多くなされ、注目を集めていた。

中でも今回、この分野に最も力を入れていたのはマイクロソフトである。マイクロソフトは次のWindows 10のアップデート「Windows 10 Fall Creators Update」で、PCと専用のヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)を用いてVRやARの体験ができる「Windows Mixed Reality」(以下、Windows MR)への対応を予定している。そこで今回のIFAでは、そのWindows MRに対応したHMDが各社から一斉に発表されている。

Windows MR対応HMDを展示したのは、レノボ、エイサー、ASUS、デル、HPの5社。いずれもWindows MRに準拠した製品となるため、ディスプレイ解像度は2,880×1,440ピクセルであるなど性能は共通しており、価格もおおむね税込みで449ドル(4万8,000円)前後のようだ。この5社ではAcerが少し先行しており、日本で発売された「Acer Windows Mixed Reality Headset デベロッパーエディション」が瞬殺、追加販売も瞬殺と、日本国内でも注目度は非常に高い。

今回のIFAではWindows MRに対応したHMDが各社から一斉に発表された。写真はその1つとなるレノボの「Lenovo Explorer」

また、同じマイクロソフトが提供するHoloLensとは異なり、Windows MR対応HMDのディスプレイは半透明ではない。それゆえ「Windows MR」とはいうものの、どちらかというとVRコンテンツを楽しむためのHMDという位置付けに近く、HMDを提供する各社のデモを体験しても、マイクロソフトが用意したVRコンテンツを、HMDと専用のコントローラーを用いて楽しむというものが主であった。

Lenovo Explorerを実際に試しているところ。HoloLensとは違って視界は完全に覆われるので、MRというよりもVRを利用するためのデバイスといえる

とはいえ、Windows 10で標準対応しており、価格的にも比較的手頃なことから、従来の「HTC VIVE」や「Oculus Rift」など、PCを活用した従来のVR HMDよりは多くの人が手にしやすいことは確か。高性能PCやHMDが必要など、ハードルが高かったVRを、より身近なものにするのに貢献する可能性は高いといえそうだ。