【レポート】

USB Type-Cはコネクタの覇権を取れるのか? - 拡大する市場ニーズへの対応強化を図るON Semiconductor

スマートフォン(スマホ)やPCを中心に、さまざまな外部機器との接続をUSB Type-Cに置き換えようという動きが加速している。そのような状況の中、ON Semiconductorは9月7日、都内で同社が2016年に買収を完了したFairchild Semiconductorの製品ポートフォリオも加えた形でのUSB Type-Cに向けた取り組みの紹介を行った。

周知のとおり、USB規格は1996年の登場以降、バージョンアップを繰り返してきており、それに併せる形で、コネクタ形状も多岐にわたるようになっている。近年では、ユーザビリティの観点から、スマホではUSB 2.0 Micro-Bが、PCではUSB Type-Aが主流(Type-Bは主に周辺機器への接続に使用)となっているが、ここに来てこれらのコネクタ形状をType-Cへと置き換えようという動きが徐々に高まってきた。調査会社IHS Markitは、2019年に出荷されるType-Cベースの機器は20億台を超えるとの予測を公表しているほか、別の調査会社でも2020年までに約半数のスマホとノートPCの93%にType-C機能が搭載されるという予測を出している。

USB Type-Cの最大の特徴は、コネクタの裏表を気にせずに挿せるといった点にあるといえるだろう。また、USB Power Delivery(USB PD)と組み合わせることで、最大100Wの電力供給が可能となったり、USB 3.1 Gen2への対応で、最大10Gbpsの伝送も可能となる。

「そうしたUSB Type-Cに対して、ON Semicondutorは幅広いポートフォリオを提供ならびに開発を行っているガ、そうして提供される製品群の最大の特徴は、競合他社のソリューションに比べて小型化できるという点にある」と、同社Marketing Director,Analog Solutions GroupのMatthew Tyler氏は自社製品の特徴を語る。また、今後数年のスマホやタブレットで供給可能な電力のトレンドは15W程度までと見ているが、そうした機器であっても電力消費量の低減ニーズが強く、「われわれのソリューションは、低消費電力性能を強く意識しており、条件によっては競合ソリューション比で1/20以下に抑えることも可能になっている」と、消費電力面でも優位性があることを強調した。

USB PDの登場により、より幅広い分野でUSB接続が活用されるようになる。そのため、市場の拡大が期待され、ON Semiconductorでも製品の拡充を進めており、今後の製品ラインアップは増えていく予定だという

現在、同社が提供しているUSB Type-C向け製品ラインアップの主軸は、小型のコントローラのほか、USB 3.1準拠のType-C SuperSpeedスイッチ「FUSB340」、信号品質の向上を可能とするリドライバなどとなっているが、2017年第3四半期中には新たなコントローラ「FUSB303」や、ポートプロテクション機能を搭載したスイッチ「FUSB242」、そして2018年第1四半期にType-C PDポートコントローラ「FUSB3078B/305B」の発売を予定するなど、製品の拡充にも余念がない(いずれもすでにサンプル出荷は開始済み)。

消費電力が競合より1/40未満で、最大100WのPDソリューションを備えたType-Cコントローラ「FUSB302」(パッケージサイズ1.2mm×1.3mm)を搭載した評価ボード。コントローラのほかにスイッチ、リドライバ、ポートプロテクション、パワーコンバージョンなどといった製品も用意している

「Type-Cの活用で市場の何が変化するのかといえば、1つのキーデバイスを中心としたエコシステムが形成されるのではなく、さまざまな種類のデバイスを複合的に活用する状況となる点にある。そうしたデバイス1つひとつに、つないだ先のデバイスとの間に、供給可能な電力や、伝送速度などを伝えるインテリジェンス性が求められるようになり、そのためには正しい情報を受け渡せる必要がある」(同)とのことで、同社では、信号品質を守るためのリドライバやスイッチへの注力度を高めているという。

中でもUSB 3.1 Gen2の伝送速度は最大10Gbpsとなっており、条件次第だが、アイパターンが開かない、という製品も競合の中にはあるという。「信頼性を持ってオペレーションを実行するためには、ジッタのコントロールを高精度に行っていく必要があり、その点で我々には一日の長がある」(同)とし、デバイスメーカーの設計開発の早い段階から参加することができれば、そうした通信に関わる問題を解決できる手助けも可能となるとした。

リドライバを利用しないと、USB 3.x系が要求する仕様を満たせない場合がある。伝送速度が増せば増すほど、その可能性は高まっていくため、リドライバやリタイマといった機能の重要性が増していくこととなる

なお、同社では現在、旧Fairchildの情報も含め、Type-Cアプリケーションに特化した情報をまとめたWebページを開設する予定で、現在、その作業を進めている段階にあるという。Webページの言語も英語のほか、日本語と中国語に対応する予定で、リファレンスデザインなどのソリューションの紹介を行う7種類のサブセグメント向けWebページについては9月下旬に公開される予定だとしている。

左がFUSB340(スイッチ)の概要。右がUSB 3.1 Type-Cコネクタプロテクション製品の概要

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