学校や習い事への移動手段として、小学生~高校生の子どもたちが1人で電車を利用する機会は増えている。特に、日中なかなか子どもに付き添えない共働きの親であれば、安全に通学できているか、無事帰路についているか、不安な気持ちになることもあるだろう。

そこで開発されたのが、JR東日本とセントラル警備保障が10月からスタートする改札通過通知サービス「まもレール」。子どもの見守りに、どう活用できるのだろうか。発表会を取材した。

JR東日本で子どもの見守りサービスが開始

月額500円で子どもの駅通過通知が保護者へ

同サービスは、子どもが「Suica」もしくは「PASMO」(いずれも記名式のみ)でJR東日本の自動改札を通過すると、保護者のスマホに「利用駅」「通過時刻」「チャージ残額」が通知されるというもの。電子メールもしくは「JR東日本アプリ」のプッシュ通知機能で情報を受け取ることができる。

子どもが自動改札を通過すると「利用駅」「通過時刻」「チャージ残額」が通知される

2017年10月1日、山手線、中央線(東京~高尾)の57駅からサービスを開始し、2018年春までには首都圏の駅あわせて244駅で利用できるようになるそうだ(新幹線改札口・乗り換え口、他社線との乗り換え口など、一部利用できない改札もある)。

2018年春までに首都圏の駅あわせて244駅で利用可能となる

対象となる駅一覧

小学生、中学生、高校生(満18歳の3月31日まで)が対象で、利用料金は子ども1人、通知先の保護者1人の場合、月額500円。100円追加すれば、通知先をさらにもう1人増やすことができる。申し込みは9月13日9時から、「まもレール」の公式ホームページ上で可能となる。

これまで同様のサービスは、関西の私鉄で利用できるICカード「PiTaPa」を使ったものや、東急電鉄で「PASMO」を使ったものなどがあったが、JR東日本では初めて。他社との違いとしては、「子どもが駅から出られなくなったら困る」といった保護者の声を受けて搭載した、チャージ残額の表示機能などが挙げられる。

保護者の過干渉を軽減しつつ、見守りを

同サービスを実施するにあたって、セントラル警備保障では子どものいる社員が議論を重ねたという。このうちの1人、同社営業本部の三谷誓子 課長代理は、現在保護者が置かれている状況について説明した。

セントラル警備保障 営業本部の三谷誓子 課長代理

「塾や習い事、通学の際、電車を利用する子どもたちのお迎えのため、連絡手段として携帯電話を持たせている方は多いと思います。ただ、子どもがお迎えの連絡をしてこなかったり、携帯電話の充電が切れてしまったりという声も聞かれます」。

さらに、交友関係の広がる高校生では、電話に出なかったり、門限を過ぎても何の連絡もしなかったりと、保護者が安全確認に不安を抱えるケースもあるという。

「子どもの信頼してほしいという気持ち、親の信頼したいけれども不安という気持ちに応えるために誕生したサービスです。(中省略)子どもの安全確認に対するストレスや不安を解消し、親子間の無用な衝突を少なくすることで、良好なコミュニケーション作りがサポートできるのではないかと考えています」。

公式ホームページでは、同サービスを使った親子間のコミュニケーション方法についても情報提供していく予定だそうだ。

GPSなどで子どもの全ての行動をチェックするのではなく、駅の改札という限られた地点の通過状況を知ることができる同サービス。使い方によっては、親子間のほどよい距離感を保ちながら、子どもの安全を見守るツールとして活用できそうだ。

左から、セントラル警備保障 鎌田伸一郎 代表取締役執行役員社長、東日本旅客鉄道 表輝幸 執行役員、尾木直樹さん

※価格は税別