フィルターの掃除をしているのに、「なんかエアコンが臭い!」と思ったことはないだろうか。エアコンがニオイを放つ原因の一つが、熱交換器に付着したホコリやカビ、油汚れだ。日立ジョンソンコントロールズ空調は、この熱交換器の汚れを凍らせて落とす「凍結洗浄」を搭載したエアコンを発表した。凍らせて汚れを落とすとはどういうこと?

日立ジョンソンコントロールズ空調は9月6日、熱交換器自動お掃除「凍結洗浄」を採用した「ステンレス・クリーン 白くまくん プレミアム Xシリーズ」を発表。冷房能力2.2kW~9.0kWの全11機種を10月末に発売する。価格はオープンプライスで、推定市場価格は24万円~40万円前後だ。

ステンレス・クリーン 白くまくん プレミアム Xシリーズ

エアコンのニオイの原因は内部の汚れ

同社のユーザーアンケートによれば、エアコンの不満は汚れに関するものが多く、中でも手入れがしにくいエアコン内部の汚れを気にするユーザーが多いという。

リビングで使用しているエアコンの不満点

熱交換器の汚れへの不満が少なくない

エアコン室内機の構造をみると、「フィルター」があり、その奥に「熱交換器」という部品が備わっている。熱交換器には細かい「フィン」があり、長年使用すると汚れが付着してくる。熱交換器に付着した汚れは、ニオイの一因になるほか、効率が悪くなるので電気代にも影響してしまうという。

10年使用した熱交換器。フィンに汚れがびっしり

同社のエアコンは、これまでもフィルターの自動掃除機能や、熱交換器のコーティングなどでエアコン内部を清潔に保つ機能を備えてきた。さらに清潔性を向上させるために、今回の新製品では、季節に関係なく自動で熱交換器をきれいにする機能を採用した。それが「凍結洗浄」だ。

従来の熱交換器洗浄は、熱交換器のコーティングと除湿や冷房時に発生した水を利用して汚れを洗い流していた。洗い流すための水量が少ないため、カビや粘着性のある油汚れは落としにくく、暖房運転時は水ができないので洗い流せないといった問題があった。

そこで、半導体のウエハ洗浄などに使われている凍結洗浄技術に着目し、エアコンの内部洗浄に採用した。凍結洗浄の仕組みは次のとおり。

まず熱交換器を冷却。するとフィンや、フィンに付着した汚れの上にも氷ができる。氷が汚れをしっかりとつかまえるので、解凍するとフィン上の氷が先に溶けて滑りやすくなり、汚れを周囲の氷ごと洗い流す。解凍は室外機の排熱を利用し、溶けた水はドレーンを通って室外に流れていく。

凍結洗浄のしくみ

霜で真っ白になった熱交換器

洗浄頻度の目安は、キッチンからの油汚れの影響があるLDKは1週間に1回、油汚れが少ない寝室は2周間に1回程度とのこと。凍結から解凍、その後の乾燥・除菌工程まで含めると、1回あたりの運転時間は2時間くらいだ。電気代は1回7円ほどで、年間で約400円という計算。また、日立独自の「くらしカメラ AI」によって、部屋の状況を認識してエアコン内部の汚れ具合を予測、洗浄頻度をコントロールするほか、人がいない時を選んで自動で洗浄するという。

通風路やフィルターなどにステンレスを採用した「ステンレス・クリーンシステム」を引き続き採用。また、冷房時のドレーン水や凍結洗浄などの排水経路に「ステンレス水受け皿」を新たに搭載した

風を感じさせない暖房も搭載

このほか、暖房運転では、「くらしカメラAI」で部屋にいる人の足もとを見つけ、足もとを中心にすばやく暖め、それから人を包み込むように暖める「つつみこみ暖房」を搭載。風を感じさせない暖房を実現したという。実際に、床に座ってみると、ほんわか温かいのに、顔や体に暖気がかかることがなく、快適だった。

エアコンの「フィルター自動お掃除」機能は、スタンダードな機能になってきた。今回の新モデルで熱交換器の自動お掃除ができるようになったことで、今まで以上に清潔に過ごせそうだ。発表会では、参考展示された10年使ったエアコンの内部の汚れをみたが、ぎょっとするほど汚い。普段掃除ができないからこそ、内部の清潔機能は重要だと感じた。

10年経過したエアコンの内部。ホコリとカビで汚い!!