新車か中古車か、もちろん車種によっても異なりますが、車を買うにはある程度のまとまったお金が必要です。しかし、住宅と違って、頑張れば一括で購入できなくもありません。

それでも大きな買い物であることに間違いはなく、家計を考えると現金一括払いかローン払いか迷ってしまう人も多いでしょう。少しでもおトクになるように、車の購入は現金一括払いとローンで買うのではどちらがいいのか、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

貯蓄があって一括で支払いできるなら、一括払いに越したことはありません…… と、言いたいところですが決してそうでもありません。

一括払いのメリットは、ムダな金利を払わなくてもいいことです。車が買えるだけのお金を預貯蓄口座に入れておいても、超低金利の現在では付与される預金利息は微々たるもの。それならローン金利を払わなくても済むように、車購入費に充てたほうが賢いと考えられます。

しかしながら一括払いのデメリットもあります。百万円単位のお金が出て行き、手元のお金が減ることです。ライフプランによっては、近い将来、子どもの教育関連費やマイホームの頭金などでまとまったお金が必要になる場合もありえます。

また数百万円の貯蓄をしようと考えても、思うようにいかないこともあるのです。というのも、車を買った瞬間から、保険料や駐車場代、ガソリン代、税金、車検代など、家計のなかに新しい費目が出てくるため、これまでよりも貯蓄のスピードが鈍ることが考えられるのです。

一括払いのデメリットをもうひとつ挙げると、貯蓄額によって買える車が決まってしまいます。車種やグレード、オプションなどにこだわりがない場合はいいですが、一括払いに固執して、希望どおりの車が買えないのでは、せっかくの大きな買い物もしっかり喜べません。

一方で、ローンなら少々高価になっても希望の車が取得しやすくなります。金利を払わなければならないのはデメリットですが、ディーラー・信販系、金融機関系のローンを比較して金利の安いものを選ぶ方法もあります。ただし、金利以外に保証料を徴収される場合もあります。手続きや審査もローンの選択肢によって難易度が異なるため、総合的にローンを判断することが必要となります。

もし、家計の負担を少しでもおさえたいと考えているのであれば、ローンのなかでも残価設定ローンを選ぶ方法もあります。残価設定ローンとは、3年~5年後に車を買い替えるとして、買い替え時の下取り分をあらかじめ差し引いてローンを組む方法です。

つまり車の購入価格が少なくなるため、月々の支払額もおさえられる仕組みです。ローン期間終了時には、その車を買い取ることもできますし、買い換え、または返却することも可能です。ただし、返却あるいは買い換えの場合、規定の走行距離をオーバーしていると、オーバーした距離分の追加支払が必要になります。

一括払いかローン払いか、どちらがいいかには正解がありません。それぞれのメリットとデメリットをよく確認し、購入したい車の価格や貯蓄の状況、ライフプラン等によって総合的に判断するようにしてください。

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筆者プロフィール:武田明日香(たけだ あすか)
エフピーウーマン所属、ファイナンシャルプランナー。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく! トラベル!」「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「webR25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人を送るための知識を伝えている。人生の"やりたい"が"できる"に変わるお金の教養スクール開講中!