VMwareとPivotalは8月29日(現地時間)、仮想サーバの「VMware vSphere」上にコンテナ環境を自動構築する「Pivotal Container Service(以下、PKS)」を発表した。Googleが開発したコンテナ管理ツールである「Kubernetes」を採用しており、Google Cloud Platformで稼働する。PKSは同社が開催する年次テクニカルカンファレンス「VMworld 2017」で発表された。

「Pivotal Container Services」はVMworld 2017の“目玉”の1つとして紹介された

PKSはVMwareとPivotal、Google Cloudとの協業で実現したもの。Pivotal Cloud Foundryと、VMwareのSoftware-Defined Data Center(SDDC)に統合できる製品として、企業やサービスプロバイダー向けに提供される。提供開始時期は2017年第4四半期の予定だが、具体的な日程や提供開始地域は明らかにされていない。

VMwareでは「PKSを導入することで、企業はKubernetesの運用を簡素化できる」としている。Kubernetesは、PivotalとGoogle Cloudが開発した、オープンソース・プロジェクトの「Kubo」に対応する商用ディストリビューションだ。アジャイルなアプリ開発とデプロイが実現できるとして、注目されている。

PivotalとGoogle Cloudは2016年11月にパートナシップを締結し、協業を進めてきた。具体的な取り組みとしては、Pivotal Cloud Foundryで活用されているマルチクラウド導入支援機能の「BOSH」を、Kubernetesクラスタで利用できるようにした。なお、Pivotalは、米VMwareのCEOだった Paul Maritz(ポール・マリッツ)氏が2013年4月に立ち上げた企業であり、現在は両社ともDELL EMC傘下のグループ企業となっている。

最初に提供されるPKSは、BOSHやネットワーク仮想化プラットフォームの「VMware NSX」、PKSアプリケーションの統合を実現する「Open Service Broker API」と、Kubernetesとの連携を可能にする。また、NSXによる「Container Network Interface(CNI)」との互換サービスなど、クロスクラウドに対応したセキュリティ/ネットワーク接続機能も備わっているという。

「Pivotal Container Service」の概要 出典:VMware

PKSは、コンテナを実行するクラスタ管理の「Google Container Engine(GKE)」と"コンスタント"な互換性を持つ。これにより導入企業は、安全性と一貫性が確保された環境で、最新のコンテナ・ネイティブの環境をユーザーに提供できる。さらにPKSユーザーは、Google Cloud Platformが提供するサービスもPKS環境から利用できる。

また、PKSユーザーは「VMware vSAN」「VMware vRealize」「vSphere」「VMware vRealize Automation」「vRealize Operations」「VMware vCloud Director」「Wavefront」といったVMware製品も利用できるとのことだ。

8月29日の基調講演で発表された「Pivotal Container Service」。壇上には、Dell TechnologiesでCEOを務めるMichael Dell(マイケル デル)氏(左)、Google Cloud PlatformでVice Presidentを務めるSam Ramji(サム ラジャイ)氏、Pivotal CEOのRob Mee(ロブ ミー)氏、VMware CEOのPat Gelsinger(パット ゲルシンガー)氏がそろった