【インタビュー】

"ワンダーウーマン"の魅力とは? 監督が分析 - ガル・ガドットの資質も熱弁

最強の美女戦士=ワンダーウーマンの痛快な活躍に“アメコミ史上最高傑作!”との呼び声もかかる映画『ワンダーウーマン』が8月25日、ついに日本でも公開。その最大の注目はワンダーウーマンを演じるガル・ガドットの魅力的すぎるキャラクターによるところが大きいが、女性を描く手腕に定評があるパティ・ジェンキンス監督の情熱と信念も見逃してはいけないポイントだ。女性監督歴代No.1興行収入を獲得するという偉業を成し遂げたジェンキンス監督と、『ワンダーウーマン』に込めた想いなど、さまざまな話題をしてみた。

――主人公のような強い女性を描くことでフェミニスト的な視点も加味されますが、最終的にエンターテインメントに仕上げることは大変でしたか?

それは簡単なことではないけれど、思っているほど難しいことでもないの。なぜなら彼女自身が自信と技術を持っている何でもこなすワンダーウーマンで、あまりにも強烈な個性だから、彼女を通してメッセージが伝わるのよ。そして、その周囲のリアクションがエンターテイメントにつながる面白味を生み出すのよ。だから主人公がレクチャーなどしなくても、彼女の存在自体がフェミニストを物語っているので、そういう意味では楽だったわ。

――愛や思いやり、平等など、ワンダーウーマンは普遍的な善のシンボルですよね。アイコニックなキャラクターとして描くにあたって、ガル・ガドットとはどういうお話を?

そもそもワンダーウーマンはコミックの時点で、そういう優しさや思いやりや愛情深い要素を彼女自分の中に持っていたわ。そういうことはコミックの時点で大好きで、1970年代のリンダ・カーターのシリーズでも大好きだった。そしてガル・ガドットの最高なところは、そういうものを彼女自身が資質として持っているところなの。皆、ワンダーウーマンをタフにしようとするけれど、わたしはそういうことをしなくても、すでにガルは自信家でタフだから必要ないと思ったわ。だから、彼女が初めて見るものに戸惑ったりするとか、強さにこだわらなくても成立するはずだと思ったわ。

――確かに、ガル・ガドットによるところは大きかったと思いますが、今回の映画では、もっと説得力に満ちているキャラクターに観えました。それはひとえに監督のパーソナルな側面が投影しているからではないでしょうか?

最高のほめ言葉ね! 新しいものを作る時には新しいものを採り入れていくけれど、自分自身が投影されていたとしたら、それはそれですごくうれしいわ。ただ、ガル自身が本当に素晴らしい人で愛すべきキャラクターなので、そういうことのすべてなのよね。

――また、この映画を観た人はダイアナのように強く生きたいと思う一方で、そういうことが苦手な人も多いので、彼女にあこがれる人が多いと思います。

わたしが子どもの頃にワンダーウーマンに出会って、大人になったら彼女みたいになりたいと思ったけれど、すべての要素を彼女が持っているということ、なのよね。力強くて良い人で美しく魅力的で、優しくてソフトな面を持っている。男性のスーパーヒーローにはよくあることだけれど、フェミニズムが上手くいくためにも、すべての要素を持っているということが一番なのよね。

――ところで、映画では彼女だけでなく、スティーヴ(クリス・パイン)も信念に基づいて戦っていましたが、あなた自身は、どういう信念に基づいて戦っていますか?

いっぱいあるわ。でも常に成功するわけじゃないの。一番曲げたくないことは、自分で考えて行動をすることね。ドグマや他人の意見に流されて悪の法に導かれたりすることを避けるためには、自分できちんと考えることよ。わたしは常にそう思っているけれど、間違えることもあるの。ついついほかの人に付いていくこともあるけれど、自分の頭で考えていくことが大事。それはダイアナの旅にも当てはまるし、『モンスター』の主人公もそうだった。すごく慎重に道を選んでいく必要があったと思うの。簡単なことではないのよね。

――そのために気をつけていることはありますか?

監督という仕事をしていて思うことは、わたしの義務はいい映画を作ることで、必死になってベストを尽くすものだけれど、その途中で間違っていることに気付いた時、そのまま続けるほうが楽だけれど、皆にやり直そうと言わなければいけないし、言う立場にいるということ。それはコントロールできない時もあるけれども気づいて何かできるのであれば、それは絶対にやらなくてはいけないことよね。それは日々起きることで決断でもあるの。

たとえば子どもを学校に入れて不幸せになっているとすれば、何かしなくちゃいけないわ。変えることのほうが難しいけれど、やらなければいけないことだと思うの。

――それこそワンダーウーマンそのものですよね。彼女は育った島には戻らず、前しか見ていない人です。あのような生き方はなかなかできないと思いますが、そこに強いメッセージを込めましたか?

いえ、意識的には言っていないわ。ただ、そういうことを言われると、それが人生なんじゃないかなって気はするの。認めたくなくても、ね。メッセージとして込めたわけじゃないけれど、人生って前に行くしかないもので、同じところにずっと停滞することはないのよ。それが人生なのよね。彼女は自分と比べると、すべてにおいて優れているけれど、わたし自身も努力家ではあるので必死に一生懸命やろうとは思うわ。

――前に進みたいけれど、日本では人の目を気にする場面が多いです。特に女性の中には男性の目線を気にする方が少なくなく、男性の中には女性は恋をしないと一人前の女性になれないということを言う人もいる。そういうレールに乗って生きることも人生でしょうが、自分の人生を生きられてはいないですよね。

そう遠くない未来、男性も女性も進化や発展を遂げていくはずよ。本当に愛される魅力的な女性になりたいなら、強さや自分自身も持っているはずで、そうすれば自立した本当に強い女性は、素晴らしいパートナーにもなり得るのよ。男がいないとか、そういうことは関係なくね(笑)。

■プロフィール
パティ・ジェンキンス
ニューヨークのクーパー・ユニオンで絵画を学び、当初は画家としてキャリアをスタート。以降、映画製作へ転向して、第一カメラアシスタントとして8年間従事。その後、ロサンゼルスでアメリカン・フィルム・インスティチュートに通ったのち、シャーリーズ・セロン主演の『モンスター』(03)の脚本を仕上げ、監督も務めて、連続殺人鬼アイリーン・ウォーノスの人生を描いて長編映画の脚本/監督デビューを果たした。アカデミー賞をはじめ、数々の映画賞に輝いた。また、AMC放送のヒットシリーズ「THE KILLING ~闇に眠る美少女」(11~14)のパイロットエピソード(11)とシリーズ2のファイナルエピソード(12)を監督したことでも知られ、数多くのコマーシャル作品やテレビ番組などを監督している。

(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

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