楽天は同社のMVNO事業「楽天モバイル」で、新料金プラン「スーパーホーダイ」を発表した。大手キャリアやそのサブブランドが低価格でMVNOの市場を侵食しつつある中、どのような意図で設定されたプランなのだろうか。

最低速度が従来の約5倍に

今回発表された「スーパーホーダイ」は、音声SIMと国内通話が5分までであればかけ放題になるオプションがセットになった料金プランだ。従来のプランと違うところは、データ通信容量を使い切っても最低通信速度が1Mbps(ベストエフォート式)と比較的高速な点。楽天モバイルの場合、従来のプランでは最低通信速度は200kbpsに設定されていたので、約5倍の高速化となる(ただし昼と夕方の混雑時は300kbpsに制限される)。

1Mbpsは、LTEの理論値が数百Mbpsに達し、実行速度でも調子がよければ数十Mbps台も珍しくない昨今において、決して早いと言える速度ではないが、地図アプリでスクロールさせても描画遅れは気にならないレベルであり、音楽ストリーミングサービスや動画配信などでも、ある程度実用的な速度で利用できる。容量を使い切っても、ある程度割り切って使える速度で、残り容量を気にすることなく使えるわけだ。

実際に1Mbpsに落とした状態で試してみたが、ウェブサイトなどは反応が遅くてストレスを感じることもあったが、地図アプリなどはナビ用途で使っていても差し支えないレベルだった。なお、アップロード方向はかなり遅い

料金はデータ通信容量が2GBの「S」で2980円、6GBの「M」が3980円、14GBの「L」が5980円。楽天会員であれば一年目に限り月額1000円の割引が受けられる。楽天会員は基本的に誰にでもなれるため、実質一年目はS=1980円/M=2980円/L=4980円ということになる。

初年度1980円という業界のトレンドは踏襲してきた。楽天のダイヤモンド会員はさらに500円の割引が得られるため、初年度は1480円~となる。楽天スーパーポイントのヘビーユーザーであるほど安くなるというわけだ

2GBで1980円というのは、auのピタットプラン、あるいはワイモバイルやUQモバイルといったキャリアのサブブランドと同額であり、かなり意識した設定であることが伺える。ただしキャリア&サブブランド組がデータ容量1GB、あるいは2年間は2GBだが3年目以降は1GBに落ちることを考えると、2GBのまま3年目以降も継続するスーパーホーダイのほうがお得ということになる。また、キャリアと違ってプランの自動更新がない。このため3年目以降は自由なタイミングで解約しても問題ないことになる。この点もキャリアより優位なポイントだと言えるだろう。

なお、スーパーホーダイ自体に端末の割賦販売や割引制度はないが、スーパーホーダイ契約時に最低利用期間を二年または三年で設定すると、二年の場合は1万円、三年の場合は2万円、楽天モバイルで端末を購入時に割引が受けられる「長期優待ボーナス」が設定された。端末は持っているのでSIMだけ購入するという場合は、楽天スーパーポイントで同等額が付加される。ただしこの場合、途中解約時に解約金が発生することになる。

楽天はもともと端末の割引販売をよく行ってきたが、今後は長期優待ボーナスに移行する見込み。高級機が安く買えるようになるのは嬉しいという声も多いだろう