焙煎から抽出まで、おいしさを追求した先にある「スペシャリティコーヒー」を提供する猿田彦珈琲が、初めてコーヒー以外のメニューを看板にした店舗を展開する。それも、猿田彦珈琲創業者・大塚朝之氏の10年越しの「夢」とのこと。その名も「猿田彦珈琲とティキタカアイスクリームのお店」。どんなこだわりが詰まっているのか、8月29日のオープンに先駆けて話をうかがった。

8月29日に「猿田彦珈琲とティキタカアイスクリームのお店」誕生

「こんな夢のあるドリンクはない」

「猿田彦珈琲とティキタカアイスクリームのお店」は、新宿駅直結のルミネ新宿LUMINE1にある。猿田彦珈琲が手掛けるアイスクリーム1号店となる同店は、決して広い空間ではないものの、新宿駅直結の施設ゆえに、買い物や通勤の道すがらに立ち寄れる気軽さがある。

会社帰りに、買い物の小休止に。新宿駅直結ゆえに、いろいろな隙間時間に立ち寄れる

冒頭で触れた「夢」とは何か。実は、大塚氏が珈琲専門店を志すきっかけのひとつになったのが、海外の雑誌で見たコーヒーフロートだったという。ビジュアルがもたらしてくれる高揚感。「こんな夢のあるドリンクはない。いつかこんなものを作ってみたい!」という想いを描いたのが、猿田彦珈琲創業の3年前のこと。それから猿田彦珈琲の開業を経て、約10年後の2017年8月29日、大塚氏が思い描いていたコーヒーフロートを提供する店が実現することになる。

「コーヒーフロート」(580円)

そんな夢の「コーヒーフロート」(580円)は、「和三盆みるく」のアイスクリームと猿田彦珈琲自慢のシングルコーヒーを合わせている。和三盆の自然な甘みと、自然放牧で育った牛のミルクの香りと濃厚さ。「今後は店舗で展開しているアイスクリームを自由に楽しんでもらう、ということもできればと思っていますが、まずは、いろいろ試した中で一番おいしいと感じたこの『和三盆みるく』でコーヒーフロートを楽しんでほしいです」とスタッフは語る。コーヒーが持つすっきりとした味わいをより深めてくれる和三盆みるくは、出会うべくして出会った味わいだった。

「和三盆みるく」の濃厚さと香り、程よい甘さが、コーヒーによく合う

猿田彦ゆえに素材に妥協なし

ティキタカアイスクリームは全部で16種類ある。「和三盆みるく」「あずき」「ごきげん抹茶」「チョコレートゴラッソ」に加え、コーヒーアイスクリームとして「猿田彦フレンチ」と「東京 in the house」、その日によって変わる2種類の「シングルコーヒー」が定番メニューとなる。「あずき」の小豆は東大キャンパス内の「廚菓子くろぎ」が炊いた小豆、「ごきげん抹茶」の抹茶は「しもきた茶苑大山」の抹茶、などと、おいしさを追求したフレーバーがラインナップ。「素材を大事にする猿田彦ゆえに、アイスクリームも一つひとつ素材にこだわりました」とスタッフは語る。

ティキタカアイスクリームは全部で16種類

定番メニューを見ていてもなんとなく伝わるかもしれないが、店のコンセプトを「大人が堂々と通えるアイスクリーム屋を作る」と定めている。実際に食べてみたところ、甘さはやや控えめで、素材の味わいが生きており、大人が食べたくなるアイスクリームであることを実感。もちろん、店舗ではコーヒーフロート以外にもコーヒーを取りそろえているので、コーヒーのおともにアイスクリームを、という選択もありだ。

3つのアイスクリームを自由にチョイス。写真は「あずき」「ライチとルバーブ」「ティキタカチーズケーキ」

ちなみに、オープン時のアイスクリームには、定番メニューの他、「ジャスミン茶」「アールグレイ」「そのまんまかぼちゃ」「ラズベリーローズ」「マンゴーバナナ」「ライチとルバーブ」「ティキタカチーズケーキ」「momo peach」をそろえている。

「ごきげん抹茶」と「猿田彦フレンチ」

アイスクリームはカップとコーンがあり、カップはアイスクリームが2個(450円)と3個(555円)、コーンはアイスクリーム2個(480円)を用意。トッピングは2種類選んで+150円となる。オープン時には「チュイル」「ミルクせんべい」「ぜんざい」「ナッツ」の4種類のトッピングを用意しているが、今後、バリエーションを増やしていく予定とのこと。

トッピングは2種類選んで+150円

「チュイル」と「ナッツ」をトッピング

アイスクリームのカップを見てみると、デザインは1種類だけではないことに気が付いた。全部で6種類あるようで、それぞれには「ファンタスティック」「ドリーム」「フューチャー」「コスモス」「オーガニック」「ネイチャー」というテーマが設けられている。

このカップもまた、猿田彦珈琲の総合デザインを手掛けているエンライトメントがデザインしたもので、例えばファンタスティックにはユニコーンやネッシーなどと、ファンタスティックをイメージさせてくれるデザインが施されている。ちなみに、猿田彦珈琲のロゴにある八角形もこっそりとカップにデザインされているので、ちょっと探してみていただきたい。

(左から)「ファンタスティック」「ドリーム」

(左から)「フューチャー」「コスモス」「オーガニック」「ネイチャー」

猿田彦珈琲の総合デザインはエンライトメントが担っている。着物の柄にも注目

メニューはほかにも、猿田彦のコーヒーフラッペ、コーヒーゼリーのフラッペ、濃厚 抹茶みつのフラッペ、まるごと白桃フラッペ、まるごとフレッシュバナナフラッペ、カプチーノフラッペ、生キャラメルの珈琲フラッペ、生チョコレートのフラッペ、カフェモカのフラッペ、洋なし風味の生キャラメルラテ、カフェモカ、蜂蜜のラテ、ティーラテ/チャイラテ、ココア、オレンジジュースなど。また、子どもメニューとして、子どもコーヒー牛乳やミルク、オレンジジュースも取りそろえる。また、豆やドリップコーヒーなどの物販もあるので、お土産に購入していくのもいいだろう。

ちょっとしたプレゼントにもちょうどいい

コーヒー&アイスクリームにぴったりな空間

確かに店舗はこじんまりとした印象を受けるのだが、店内にもいろいろとこだわりが詰まっている。唯一の窓には、実験を連想させるようなビーカーやサイフォンなどのコーヒー器具をディスプレイ。そして壁面にも注目していただきたい。少しざらっとした手触りだが、実は豆かすが使われている。コーヒー豆かすがもたらす色合いもそうだが、コーヒー豆に囲まれた空間というのも、なかなか居心地がいい。

ビーカーやサイフォンがインテリアに早変わり。窓が八角形なのも猿田彦風

見上げるとそこにも

また、販売台がちょっと変わった形をしているのにも意味がある。アイスクリームのスコープで台をスクープした形をイメージしたもので、この湾曲の作りにより、全体的にとがりのない温かみのある空間が生み出されているのだ。

ティキタカとはサッカー用語で「パス回し」という意味。個人プレーのドリブル突破ばかりでなく、多くの人々と関りながらパスをつなぎ、ゴールに向かうという想いを込め、客自身も何度も立ち寄りたくなる場所、また、スタッフと客との間でコミュニケーションが生まれ、互いにどんどんと膨らんでいける環境を目指している。

ティキタカアイスクリームの提供は、猿田彦珈琲の既存店舗への展開も含め、拡大展開を構想している。気軽に楽しめるという意味で、「路面展開もできたら楽しそう」という声もあるようだ。こだわりが詰まったティキタカアイスクリーム、ぜひとも大人も堂々と通っていただきたい。

●information
「猿田彦珈琲とティキタカアイスクリームのお店」
住所: 東京都新宿区西新宿1-1-5 ルミネ新宿店 ルミネ1 1F
アクセス: JR新宿駅南口から徒歩3分
営業時間: 8:00~22:30
定休日: ルミネ1の休館日と同じ
席数: 13席

※価格は税別