バカじゃねぇのかな? という感想

――さすがに会社から「『ゴッドタン』で3時間半ゴールデンをやってくれ」と言われたときは驚きましたか?

はい。4月くらいに、「『ゴッドタン』でゴールデンやれる?」と聞かれて、「え、今ですか?」という話はしていたんです。過去にも、「マジ歌」や「キス我慢」が当たって深夜帯で数字が良かった時に何度か打診されたことはあったんですよ。でもそのときは「まぁまぁまぁ……」と自分が流してて。

「10年目の節目だし」と今回言われたときも、また適当に流そうかと思ったんですが、思った以上に編成が本気だった。「18時半から22時までの3時間半」と言われて、「バカじゃねぇのかな?」って思ったんですけど、僕が思うくらいだから世の中の人もそう思うだろうし、いいかな、と。この規模で24時間テレビの裏で、となったら、それは特番をやること自体がデカいボケだから、お笑い番組を10年やってきてこれを断る理由はないよなぁ、と。

――でもゴールデンでやるとなると、やはり数字は求められるのでは?

おぎやはぎは、第1回の「M-1グランプリ」で大阪での得点が9点だったのを、10年笑いにしてるじゃないですか。それと一緒で、仮に1%だったとしても、ずっと笑いになるからいいかな、と。もちろん視聴率は獲りたいですけどね。作家のオークラさんとよく「テレビのお笑い年表」を勝手に考えるんですけど、それに載りそうかどうかでいったら、載る出来事だと思うんですよね。

それと、僕は本当に日々「怒る」ということがないんですけど、それはなんでかっていうと、なんでもいい思い出になると思って生きているからで(笑)。今回の特番なんか、絶対いい思い出になりますからね。ちなみに、怒らないで過ごすための僕の精神的処方のもうひとつは、「いつか暴露本を書こうと思っていれば、大抵のことは許せる」です(笑)。

ゴールデンで放送できるのか

――すでに特番は収録が行われてるとのことですが、手応えはいかがですか?

毎回楽しくて仕方ないですね。「芸人マジ歌選手権・マジラブソング歌謡祭」「マジ嫌い1/5SP・真のマジ嫌われ芸人ナンバーワン決定戦」「私の落とし方発表会 売れっ子女芸人スペシャル」の3本立てで、「私の落とし方発表会」はテレ東のドラマ班が撮ってるんですよ。江里子先生(阿佐ヶ谷姉妹の姉・渡辺江里子)がすごい泣ける新作を書いてきてくれて、「こんな人出てくれるんだ!?」と思われるようなちゃんとした役者さんも出ますから。

「マジ嫌い1/5SP」は、これまでに「マジ嫌い」に出た芸人の中からキングコング・西野くんやバイきんぐ・小峠、ハライチ澤部、千鳥・大悟、又吉くんなど、30~40代の中堅と呼ばれる面白い芸人が一堂に会するので、自分も楽しみにしてます。あとは、西野くんと劇団ひとりの対決をゴールデンでお送りできるのかだけが心配です。

――西野さんが出るときには恒例の、服の破り合いのくだりですね。服を破くのはゴールデンだとNGなんですか?

破いているところはいいですけど、もしお尻に指を突っ込んだら使えるのかどうか、そのへんのニュアンスがちょっとわからないんですよね……。「プロの指導のもとでやっています」とか書いておけば、許してもらえるのかな。

――どうでしょうね(笑)。

それと、「マジ嫌い1/5SP」はほぼ『キングちゃん』のスタッフで作っているので、『キングちゃん』ファンにも楽しみにしていてほしいですね。

――そうなんですか! また劇団ひとりさんに、「最近は佐久間さんの愛が『キングちゃん』に注がれてる」と言われそうですね。

いやもう、「マジ歌」武道館の劇団ひとりを見てくださいよ! あれ、いくらかかったのか僕もわからないんですよ。今回の特番も好き勝手やった上に、「私の落とし方発表会」では江里子先生の新作にも出るんですよ。それだけ好きにやっておいて「愛情がない」ってどういうことだよ、と言いたい。いま地上波であんなに好きにお笑いをやらせてもらってるの、松本(人志)さんくらいじゃないですか?(笑)。

(C)テレビ東京

■著者プロフィール
斎藤岬
1986年生まれ。編集者、ライター。月刊誌「サイゾー」編集部を経て、フリーランスに。編集を担当した書籍に「別冊サイゾー 『想像以上のマネーとパワーと愛と夢で幸福になる、拳突き上げて声高らかに叫べHiGH&LOWへの愛と情熱、そしてHIROさんの本気(マジ)を本気で考察する本』」『DEATH MATCH EXTREME BOOK 戦々狂兇』(共にサイゾー刊)など。