スピーカーに求められているのは、オリジナルの音をそのまま空間に再現する能力ではないだろうか。三菱電機エンジニアリング「DIATONE」ブランドの「DS-4NB70」(9月29日発売、税別600,000円/1台)は、そんな高みを目指した渾身のブックシェルフスピーカーだ。DS-4NB70は、新開発の振動板「NCV-R」を搭載し、高音質を実現している。

DIATONE DS-4NB70

振動板「NCV-R」に注目

振動板のNCV-Rは、カーボンナノチューブと数種類の樹脂を配合して開発。樹脂素材でありながら、金属素材であるチタンを超えた6,300m/sの伝搬速度と、紙と同等の適度な内部損失を併せ持っている。スピーカーにおいて振動板の伝搬速度は重要なファクターだ。タイムラグが少なくなれば、原音に近い再生が可能になる。

振動板のNCV-R

オリジナルのDMM構造

また、DIATONEのオリジナル技術「DMM(Direct Magnet Mount)構造」により共振を押さえ込む。これは高剛性アルミダイキャストのメインフレームと、重量亜鉛ダイキャストのマグネットカバーを組み合わせたもので、極めて高い剛性を持つ。

美しい外観

エンクロージャーは、通常のブックシェルフ型スピーカーよりも内部容量が多く、これにより重低音の表現力やライブ演奏の再現性を高めている。表面はカーボン含有ポリエステル樹脂によるピアノブラック仕上げ。これはDS-10000B、DS-20000Bでも採用されていた技術だが、職人の手による6層のハンドメイド塗装を施すことで、適度な振動の拡散と吸音効果による高S/Nを実現している。艶っぽく美しい外観は、セクシーかつ、どこか近代的だ。

ピアノのような光沢のある美しい外観

レスポンスの高いクリアな音を実現

メディア向けのデモでジャズ、ロックなどのライブ音源を試聴したが、ライブならではの臨場感、楽器の音のリアリティなどを十分に感じられた。非常にレスポンスがよく、クリアでソリッドなサウンドという印象だ。DS-4NB70は、新世代DIATONEのページを開く、ポテンシャルの高いスピーカーであると感じた。

試聴会場のDS-4NB70