飛行機の機内サービスと言われて、ドリンクサービスや機内食をイメージする人も多いだろう。確かに、カートが自分の席に近付いてくるのを遠目に見ているのは、なんだか楽しいものだ。しかし、これらのサービスは機内で実施しているサービスのごく一部。そこで今回、JALが機内で提供しているサービスについて、国内線・国際線ともに企画・運営担当者に話をうかがった。

JALとっておきの機内サービスを、客室本部・客室品質企画部・国内線統括マネージャーの高森夕見子さん(左)と客室本部・チーフキャビンアテンダントの宇津山美佳さん(右)にうかがった

全路線が「JAL CAFE LINE」

まず、冒頭で触れたドリンクサービスだが、JALでは特に「JAL CAFE LINE」というネーミングで、国内線・国際線ともにJALオリジナルのコーヒーを機内で提供している。世界中のコーヒー豆を知り尽くしたコーヒーハンター・川島良彰氏と、焙煎・抽出のスペシャリスト・石脇智広氏をアドバイザーに迎えて開発・提供するコーヒーは、機内に搭載されたオリジナルのコーヒーメーカーにて、CAがていねいに淹れて振る舞われる。

特に国際線ファーストクラス/国際線ビジネスクラス/国内線ファーストクラスにおいては、コーヒー豆が3カ月に1度の頻度で変わり、その季節にぴったりのオリジナルブレンドとなる。国際線ファーストクラス/国際線ビジネスクラス/国内線ファーストクラスと、国際線プレミアムエコノミークラス/国内線クラスJ/国内線普通席とで、それぞれ異なるコーヒーを提供するほか、ハワイ線だけで楽しめるコーヒーもある。特に7月1日~8月31日の間は、国内線全クラスで夏季限定のアイスコーヒーが登場(一部路線を除く)。この機会にぜひ、特別な1杯を楽しみたい。なお、アイスコーヒーの提供期間は年によって異なる。

空の上でおいしい一杯を

機内食は事前予約も一手

国際線ではさらに、機内食を楽しみにしている人も多いだろう。今だけのサービスとしては、2017年10月28日出発分までの予定で、ビジネスクラスのJAL運航の中長距離路線(欧米線/ホノルル線/アジア・オセアニア線、深夜出発便の朝食は対象外、臨時便・チャーター便は一部便を除き対象外)を対象に、和食または洋食(牛肉料理)の事前予約を受け付けている。日本発は国際線出発の25時間前(日本時間)、海外発は国際線出発の48時間前(現地時間)までに予約が必要など、利用にあたり条件があるので、気になる人はウェブサイトを確認していただきたい。

さらに機内食は、乳幼児食やベジタリアンミール、低グルテンミール、イスラム教ミールなど、さまざまな特別食も用意しており、2017年8月現在、その種類は20種類にも及ぶ。もちろん、特別食のオーダーは無料で受け付けている。特別食の種類によっては、便出発24時間前~72時間前までなど、いつまでに事前予約が必要なのかが異なるので、こちらもウェブサイトを参照していただきたい。また、数に限りはあるものの、機内には予備のアレルギー対応食も用意しているので、もしもの場合にはCAに相談してみよう。

目指したのは「旅館の思い出帳」

2017年からの新しい取り組みとして、「旅の手帳/TRAVEL LOG BOOK~パイロットからお客さまへ~」というものがある。これは、乗客が搭乗する前にその便を担当するパイロットがwelcomeメッセージを書き、それに対して乗客が自由にメッセージを記すというもの。パイロットのメッセージは、その便のフライト情報だったり、就航地の観光案内だったりと、内容はさまざま。中には、写真やシールなどで装飾されたメッセージもあった。

旅の手帳の発起人のひとりであるボーイング787機長の浅野正成氏

旅の手帳は有志のパイロットの声で、2017年1月に国際線を対象に便数限定で開始した。5月の大型連休にも実験的に実施し、7月~9月末までの間、成田=ホノルル・シドニー・パリの3路線のうち、パイロットが実施可能と判断した便にて実施している。

旅の手帳の発起人のひとりであるボーイング787機長の浅野正成氏は、「お客さまがどのような気持ちで乗ってくださっているのか肌で感じたい、パイロットもお客さまとつながることでよりお客さまをイメージして操縦できるのではないか、という想いから始まりました。お子さまからご年配の方、海外の方からもメッセージをいただき、お客さまの気持ちに触れられることをうれしく感じています。

また、『このパイロットが実際に今、操縦しているんだ』というところに安心感を抱いてくださっている方もいらっしゃるようです。それと同時に、同じ仲間のパイロットが普段、どのような想いで乗務にあたっているのかも、この旅の手帳を通じて理解を深めることもできたと思います」と語る。

旅の手帳は、他のパイロットがどのような気持ちで乗務しているのかを知るきっかけにもなったという

複数の路線で同時に展開していることもあるものの、旅の手帳は現在、30冊目になったという。会話をしているような気軽さで、パイロットとダイレクトにつながれる旅の手帳は、今後はさらに国内線でも展開ができればと考えているという。

今後は国内線での展開もできればと浅野氏は語る

子連れ旅行が楽しみになるアイテムたち

また、子連れ旅行をもっと気軽なものにするために、機内では子ども向けにさまざまなサービスを展開している。子連れ旅行で困った時の対処法などを分かりやすくまとめた「ベビーと楽しむ空たびBOOK」は、子連れ旅行者のみならず妊婦にもプレゼントしているので、旅の参考にしてみるといいだろう。

まず、機内では国内線・国際線ともに絵本を用意しているが、絵本の中にはママCAたちが寄付したものも多数あるという。機内で読むため、音が出ないものや飛び出すタイプではないものなどの制約を設けているが、ママとして、また、CAとして、子どもに寄り添った一冊を届けたいというところから始まった試みだ。

「ベビーと楽しむ空たびBOOK」と機内に用意している絵本たち

そのほかだと、機内には予備のオムツを用意があり、どの路線・機材でも必ずひとつ以上はオムツ替え専用のテーブルを供えたトイレを設けていること、また、国内線には赤ちゃん専用の毛布を供えていることなど、さまざまなシーンに対応したサービスを用意している。中には事前予約が必要なものもあるので、「『子連れで飛行機』のコツをJALのママさんCAに聞いてみた」を参考にしていただきたい。

国内線には赤ちゃん専用の毛布の用意も

ちなみに、機内では子ども向けにオリジナルグッズを用意しているが、特に人気のグッズはどんなものかうかがったところ、「JAL OKINAWA キッズワンショルダーバッグ」とのことだった。これは、羽田発→那覇/久米島/宮古/石垣着、伊丹/中部/福岡/岡山/小松発→那覇着、関空発→那覇/石垣着にて2017年7月15日~8月31日まで、3歳~小学校低学年(座席利用者)を対象に提供しているもので、バッグの中にはサングラスやタオル、小物入れが入っている。このグッズを目当てに同路線を利用する親子連れもいるという。

ほかにも、JAL機がデザインされたキッズベッドフォンも人気のグッズのようだ。キッズ向けのグッズは時期によって変更されるので、その時その時のグッズを楽しみにしておこう。

「JAL OKINAWA キッズワンショルダーバッグ」は8月31日まで

オリジナルデザインのキッズベッドフォンも人気

また、機内販売というと国際線で免税品を買う、というイメージの人も多いだろうが、国内線でもここだけでしか購入できない商品もそろえている。2017年7月31日まで販売していた、「JALオリジナル ドラえもんステンレスボトル」などがその例だ。これは、JALが展開している特別塗装機「JAL ドラえもんJET」の縁で実現した商品だが、今後もこうした機内限定商品も随時展開していくという。

ここまでは、旅をより楽しいものにするために実施しているサービスを紹介してきたが、機内でのもしもの備えとして用意しているものも数多くある。続いては、そんな緊急時の備えを紹介しよう。