【レポート】

持ち歌全曲を披露したボリューム満点・超充実の一夜に! - 楠田亜衣奈 2nd LIVEツアー中野サンプラザ公演レポート

1 "集大成"と"カレンダーの物語"を見事に両立

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声優・楠田亜衣奈のライブツアー「楠田亜衣奈 2nd LIVE TOUR‘17 YEAR♡♡♡♡♡♡♡」のファイナル公演が8月10日、東京・中野サンプラザにて開催された。6月から行われてきた全国ツアーを締めくくる内容となったのはもちろん、同時に彼女のこれまでの活動の集大成を観ることのできる公演ともなった。

その"集大成"となるポイントは、"「楠田亜衣奈名義の曲」すべてが歌われた"という点。アンコールを含めて1stミニアルバム『First Sweet Wave』の6曲、2ndアルバム『Next Brilliant Wave』の11曲、そして最新3rdアルバム『カレンダーのコイビト』の14曲……計31曲、すべてを歌いきったのだ。しかもそれを、"最新アルバム『カレンダーのコイビト』を引っさげた今回のツアーのファイナル"という観点からも破綻させずに。

楠田亜衣奈
Photographer:中村ユタカ

その最新アルバムは、リード曲とボーナストラック以外は1年のうちのどれかの月が楽曲に割り当てられ"カレンダー"を形作ったもの。この日のライブではそれを活かし、その楽曲を1月から12月まで順にカレンダーをめくるがごとく披露。その合間に1stミニアルバム・2ndアルバムの楽曲を挟み込む形で1年間のストーリーを描いていく――という、以前のライブはもちろんこのツアーの地方公演とも一線を画す構成となっていたのだった。

では、その模様を順を追って振り返っていくこととしよう。

物語とともに、めくられていくカレンダー

Photographer:中村ユタカ

「カレンダーのコイビト」のオルゴールアレンジが流れ出すと、ホールは徐々に暗転。ライブを支えるバンドメンバーが位置につくと、続いて舞台奥の上段ステージ、大きなライブロゴの幕の前に楠田が登場。キーボード1本の演奏をバックに微笑みながら「トドケ ミライ!」をしっとりと歌うと、「First Sweet Wave」へ。デビューアルバムの幕開けを飾ったこの2曲から始まったという点も、今思えば集大成感に拍車をかけていたよう。後者では1サビ明けの間奏にてくすサポ(=楠田ファン)を高めるようにマイクを向けており、歌いきった際の自身の表情も晴れやかだった。

そしてスクリーンに次々とめくられていくカレンダーの映像が流れると、1月曲「Snow Breath Celebration」からその物語はスタート。激しめのこの曲を、凛とした表情でアタック強めに歌いきる。続く「進化系HEROINE」ではマイクを置き、ヘッドセットでイントロからダンサブルなステージを展開。その軽やかなステップやダンス中のジャンプで、彼女のダンススキルの高さも再確認できた。

曲明けのMCでは、このライブが自身初となるホール公演であることに触れると同時に、今回のツアーのどの公演ともいきなりセットリストが異なる点にも言及。「この調子で、今日はどんどんいきたい!」とこの先の曲数の多さもほのめかしていく。

そして「今日誕生日の人ー!?」とくすサポに問いかける楠田。挙手したくすサポの名前を順に聞いたところで、「今日はくすサポに(楠田)」「誕生日おめでと!(観客)」とアカペラと合唱で「まいにち誰かのハッピーデイ♡」のコール部分を歌ってお祝い。そのままバンドとともに、同曲を本格スタート。最新アルバムの幕開けを飾る自らの誕生月・2月にあたるこの曲では、イントロで歌詞に合わせて起床・洗顔からの1日の流れを表したフリがキュート。その後も笑顔で、先ほど名乗ったくすサポ全員を祝福するかのようだった。

Photographer:中村ユタカ

ここからさらに、一気に2ヵ月時は進む。3月曲「spring heart」は切なさをベースにダンスより歌唱に重きが置きつつ、Dメロで見せた笑顔が逆に曲の切なさを視覚的に引き立たせる。そして「ハルイロレジュメ」で迎えた明るくポップな4月には、スキップするような跳ね方でステージ上を移動。それを前にした客席が、偶然かピンクの中に少しだけ緑が交じる景色を作り出していたのも、この曲の季節感にはピッタリ。

しかし「Heart's cry」からは一転。3曲連続で激しくも切ない想いの込められた楽曲が続いていく。そのなかでは、大サビ前にて絞り出すようにその感情をぶつける姿もみられた「硝子のバタフライ」の歌声のハマり方が、群を抜いていたように思う。

こうして一気に6曲を披露した楠田。しかしその直後のMCでも「じゃんじゃん行っちゃいます!」とその勢いを止める雰囲気はなく、「すごい長丁場だから」と改めて宣言。MCを自ら「給水タイム」と称すほどだった。

楠田もくすサポも給水を終えたら、「Infinite Memories」で明るく物語を再開。イントロから客席にマイクを向け、MCで少々ゆるりとした場内を再び高めてくすサポと再び繋がったところで、季節は5月へ。新緑に染まった客席を前に、「JUMP UP」でパラソル片手に春のお散歩だ。そのパラソルを要所で開いてひらりと舞う姿は、キュートな歌声と相まってお人形のよう。そして、その5月に存在するGWにも似合うライブ鉄板曲「HO♡HOLIDAY」を続け、曲名とは対照的にその楽しさをもって観客を休ませない。しかしその先に待っていたのは6月の梅雨空。「レイニーマーメイド」を、ときに切なげにときに微笑みながら、表情から曲の世界に入り込んでライブ中盤の大バラードを歌い上げる。それを包むシンセストリングスは、会場をベールのようにしっとりと覆っているようでもあった。

最高の形で1年を閉じる、カレンダーを綴じるあのナンバー

Photographer:中村ユタカ

アウトロに波の音がかぶさるなか、楠田は一旦降壇。ゆったりめのバンドタイムを挟むと、衣装チェンジを終え上段ステージに楠田が再登場し、梅雨明け宣言のように「後半戦盛り上がっていくよー!」とシャウト。「夏ハジメマシタ☆」でタオルを回したりコール・アンド・レスポンスを交わしたりと、観客とともに7月の夏空をエンジョイしていく。しかし楽しい時間はあっという間。「タイムリミットサマー!」で早くも8月を迎える。この曲では随所でオトナな表情を見せたり、歌唱に用いたスタンドマイクに一瞬脚を絡ませたりと、ラテンの風味も感じさせる楽曲にも似合う情熱的なパフォーマンスで、とにかく見せ場の多い楽曲に仕上げていた。

すると、このタイミングで突然「ラブリージーニアス」が降臨。ユーロビート調のキラーチューンで、客席へ手のフリを先導する楠田。そしてそれにただついていくどころか、ラスサビ後には大きな大きなコールを返すくすサポ。その声を受けた楠田はよりぱあっと輝く笑顔を見せ、最後は「さんくっすん!」ポーズでバッチリとキメていた。

曲明け、ここまで17曲を「あっちゅーまやな」と回顧。「(今回のツアーの)通常のライブだったらここで終わるくらい」と触れつつも、この日はちょうど3連休前。「今日はよふかししてOK?」と問いかけたところで再び盛り上げにかかる……かと思いきや、ここからは"瞑想タイム(※楠田談)"観客着席のもとしっとりとバラードを3曲続けて歌っていく。そのブロックを締めくくった9月曲「星空のリバーブ」での、曲に入り込んだ彼女の表情は実に哀しく、過ぎた夏を切なく振り返る楽曲のヒロイン像がその歌声によって浮き彫りになっていた。

そして瞑想タイムが終わると、唐突に「普段は恥ずかしくてなかなか言えない、くっすんの主張!」と冗談めかしつつ、まずはバンドメンバーに、続けてくすサポへもていねいに礼を告げ、「これからもよろしくお願いします!」と続けていた。

Photographer:中村ユタカ

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インデックス

目次
(1) "集大成"と"カレンダーの物語"を見事に両立
(2) 彼女がこの日果たした、"指切りの約束"

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