Appleは往々にして、あらゆる想定の上、APIこそ用意するが、デバイスの全ての用途を自社だけでは考えない。そういう意味では、開発者のアプリが新しい用途を開拓したからこそ、今日のiPhoneがあるとも言える。

Apple Watchについても、同様のアプローチを採ることになるだろう。

Apple Watchのアプリは現在、iPhoneとの通信を前提にインターネットに接続したり、単独で本体内のセンサーを活用した計測を行ったりするものに大別される。

通知系のアプリでは簡単なアクションを返せる

例えばTwitterやニュース系のアプリは、iPhoneの通知を表示して簡単なアクションを起こせるようにしているし、メッセージ系のアプリは音声入力や選択肢から選ぶ形で返信が行える機能を実装している。これらのアプリでは、iPhoneが近くにない環境でも、同様にインターネットに接続して最新情報を取得することができるようになるはずだ。

Apple Watchのセンサーを利用する、テニスやゴルフのスイングを計測するタイプのアプリでは、特にインターネット接続を必要とせず、その結果をApple Watchの画面に表示することで、iPhoneなしで使えるようになっている。データを蓄積するにはiPhoneを利用し、大きな画面で結果を見ることができるものが多い。こうした、インターネットへの接続なしで動作するアプリは、通信をサポートすることで、Watchアプリ内にないチュートリアルやコーチングのコンテンツを読み込んだり、クラウド管理している自分のデータの読み書きを行ったりすることが考えられる。

また、ゲームなどの全く違うジャンルのアプリや、プールや風呂など、そもそもiPhoneを持ち込まない環境でのアプリ活用やセンサーデータの取得なども考えられる。もっと単純に、iPhoneでこれまで扱ってきたアプリを手首だけでこなせるよう設計されたアプリも登場するかもしれない。前述のようなメッセージングアプリやナビゲーション、ニュースヘッドラインの取得、カレンダーやToDoなどの生産性アプリなどがそれにあたるだろう。

単体での通信をサポートすることによって、これまでさほど実用性を感じられなかったアプリが、Apple Watchでより活躍するシーンが出てくるかもしれない。