『アイドルマスター シンデレラガールズ』初の全国ライブツアー「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!!」の最後を飾るさいたまスーパーアリーナ公演DAY2が、2017年8月13日、埼玉・さいたまスーパーアリーナにて開催された。

本公演には、大橋彩香(島村卯月役)、福原綾香(渋谷凛役)、原紗友里(本田未央役)、藍原ことみ(一ノ瀬志希役)、青木志貴(二宮飛鳥役)、青木瑠璃子(多田李衣菜役)、赤﨑千夏(日野茜役)、朝井彩加(早坂美玲役)、飯田友子(速水奏役)、今井麻夏(佐々木千枝役)、大空直美(緒方智絵里役)、金子真由美(藤本里奈役)、金子有希(高森藍子役)、鈴木絵理(堀裕子役)、髙野麻美(宮本フレデリカ役)、竹達彩奈(輿水幸子役)、伊達朱里紗(難波笑美役)、種﨑敦美(五十嵐響子役)、津田美波(小日向美穂役)、千菅春香(松永涼役)、照井春佳(櫻井桃華役)、東山奈央(川島瑞樹役)、長島光那(上条春菜役)、原優子(向井拓海役)、春野ななみ(上田鈴帆役)、松田颯水(星輝子役)、村中知(大和亜季役)、安野希世乃(木村夏樹役)、山本希望(城ヶ崎莉嘉役)、佳村はるか(城ヶ崎美嘉役)、ルゥ ティン(塩見周子役)の総勢31名が出演した。

昨日のレポートでも書いた通り、DAY2とDAY1は出演者のかぶりは一切なし。メンバーをまるっと入れ替えて、構成だけ共通で内容は別物のライブに仕上げてきた。ライブオープニングにレーザーで刻まれた「FINAL」の文字が、7都市14公演の最後を飾る公演の特別さを改めて意識させる。

DAY2では、『シンデレラガールズ』を長年中心になって引っ張ってきたユニット・new generationsの大橋彩香、福原綾香、原紗友里がツアー最終公演にして初めて勢揃いした。オープニングの出演者がフラッグを掲げての行進で、一際高い真ん中のステージに3人が並ぶだけで不思議な感動がある。そこから行進が続き、出演者全員がステージフロントの広いエリアに並ぶと、原紗友里の隣にはラジオ『CINDERELLA PARTY!』で共に主宰(パーソナリティ)を務める盟友の青木瑠璃子が並び、ニュージェネの真ん中である大橋の後ろには支えるように佳村はるかが立つ。当たり前に思っていた顔ぶれの集結が特別なものであったことを再確認させてくれるステージでもあった。

ソロのトップバッターを務めたのは、日野茜役の赤﨑千夏が歌う「熱血乙女A」。血潮を燃やし全力で突っ走る茜ほどツアーファイナルの切り込み隊長にふさわしい存在はいないだろう。赤﨑は、2014年4月に行われた「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 1stLIVE WONDERFUL M@GIC!!」以来のライブ出演だが、「私なんだか走りたくなってきました、行ってきます!」と叫んでステージを端から端まで全力疾走する様子は、まさに茜そのもの。前よりはるかに茜らしさを端々から感じさせる様子に、ライブに出演していない期間も演技で、歌で、常に赤﨑のかたわらに茜がいたことを実感した。

特別な出演という意味では、輿水幸子役の竹達彩奈は外せない。竹達のシンデレラライブ初出演は昨年10月の「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 4thLIVE TriCastle Story」さいたまスーパーアリーナ公演だったが、この時はサプライズ出演。初めて事前告知した上でのライブ参戦を竹達も喜んでいた。今回、竹達は魔法を使って(?)幸子そっくりの外ハネが特徴的なショートカット仕様。彼女自身のビジュアルとあいまって輿水幸子そのものに見える再現度に、ステージの仲間からも驚きの声が上がったほどだ。挨拶で竹達が「今日はカワイイボクに会えてよかったですね!」と幸子らしく挨拶した際の会場の大歓声が、観衆がいかにこの時を待ちわびていたと教えてくれる。会場の隅々までカワイさが染み渡る「To my darling…」も良かったが、「輝く世界の魔法」のCDオリジナルメンバーの一人である彼女が、馬車(ゴンドラ)に乗って仲間たちと一緒にわいわいと歌い、客席に向けて手を振る姿がとても良い光景だった。

前半戦のラスト、嬉しい予想外だった楽曲が「Treasure☆」だった。この曲はラジオ『デレラジ』と『CINDERELLA PARTY!』のコラボ楽曲で、どちらかといえばライブよりラジオの公録イベントが似合うイメージだったからだ。この曲はパーソナリティ陣が作詞を担当しているが、その中に妄想力と創作力に優れた福原綾香がいたこともあり、大海原を行く海賊の大冒険を壮大なミュージカル調で描く楽曲となっている。今回のステージではその物語の世界をステージ上で再現。雷雨轟く大海原をリアルに表現する映像と音響、大波に揺れる甲板に翻弄されるような迫真の芝居を見せるメンバーたちによって、舞台は極上のミュージカルに仕上がった。センタースクリーンの海から巨大なクラーケンが這い登ってきた時は"海賊映画"かよ!と思ったし、それに驚く福原のリアクションがまた、絶妙な表現だった。

そして前日もSSAを幸せなパニックの渦に巻き込んだのが、ゲスト着ぐるみのDJぴにゃ a.k.a ぴにゃこら太の選曲による20曲の"なんでもあり"メドレー「Serendipity Medley!!!」のコーナーだ。今日のDJぴにゃは、登場するやステージ上から何故か「ぴにゃ!」の生声が響くなど絶好調。さらにフレッシュメンバー(朝井、伊達、春野)による「GOIN'!!!」では「ホップ・ステップ・ジャンプ」のフレーズに合わせて軽快に飛び、お嫁さんにしたいアイドルNo.1(=五十嵐響子。3rdライブのランキングコーナー企画でのひとネタ)による「エヴリデイドリーム」では種﨑敦美とじっと見つめ合い続けたりと、妙にDJぴにゃに存在感のある2日目だった。

長島光那の底知れないスキルと引き出しが垣間見えた「おねだり Shall We ~?」や、原優子がヤケクソで思いっきり歌う拓海の化身にしか見えない「Can't Stop!!」、同じ事務所の友人同士でもある金子と津田がオトメコンビとして歌った「ススメ☆オトメ ~jewel parade~」など見どころを挙げればきりがないのだが、特に物語性に注目するのなら、まずは今井麻夏、東山奈央、長島光那がブルーナポレオンとして歌った「Nation Blue」だろう。ゲーム初期ユニットのひとつであり、アニメ『シンデレラガールズ』第1話にユニットとして登場したことをきっかけに、今井と長島が佐々木千枝と上条春菜の声を担当することになった特別なユニットでもある。ラストのMCで東山はブルーナポレオンとしてのステージを喜ぶと、いつか(まだ声がついていない松本沙理奈と荒木比奈も含めた)5人でステージに立つ夢を語っていた。

そして前日のメドレーに対するアンサーとなったのが、new generationsによる「Trancing Pulse」だ。福原演じる渋谷凛はnew generationsとトライアドプリムスの両方に所属しており、凛を挟んでの両ユニットメンバーの心の機微はTVアニメ『シンデレラガールズ』で丁寧に描かれていた。前日、松井恵理子が凛(福原)に捧げた歌とメッセージに、2日目は福原が「奈緒、加蓮、私たちの想い、届いてるよね?」と応えた形だ。こうして何気ないところに初日と2日目のリンクを入れてきたり、SSA公演には出演していないメンバーの楽曲をゆかりある仲間がカバーしたりの心遣いが行き届いたメドレーだった。DJぴにゃ、おそるべし。

メドレー明け、「∀NSWER」からはじまるラストブロックは、ほとんどの楽曲で原曲ユニットオリジナルメンバーが集結するという、観客の心と肉体にも全力疾走を要求するような、まさに"ラストスパート"となった。特に「ラブレター」と「情熱ファンファンファーレ」は、ゲームで昔から愛されてきたユニット・ピンクチェックスクールとポジティブパッションとしての初ステージでもある。ゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』で楽曲と共にステージに立つビジュアルを獲得した両ユニットが、現実のステージに揃った瞬間だった。

ユニットラッシュのラストは、今やトップクラスの人気を誇るユニットであるLiPPSが初めて勢揃いした「Tulip」、最も熱い最強ユニット炎陣がオリジナルメンバー5人の名乗り口上付きで熱唱した「純情Midnight伝説」、そして真夏のライブを締めくくるにこれ以上ふさわしいユニットはないサマプリが初集結した「サマカニ!!」というおそろしいまでに最高の流れ。4時間強のライブ終盤のプロデューサーたちのエネルギーを底までさらっていったのだった。

ラストの「サマカニ!!」で、いやライブを通して印象に残ったもののひとつが、春野ななみの笑顔だった。ステージで歌いながら心から楽しそうに、見ている側も嬉しくなってしまうような笑顔を、わずか2週間前に初ステージを踏んだ人が見せるのは簡単なことではない。メドレーで「フレッシュな」というくくりで「GOIN'!!!」を歌った3人(朝井、伊達、春野)のうち、朝井には「∀NSWER」という、ある意味ソロ曲以外に名刺代わりになる絶対的な楽曲がある。その点、笑いや話芸といった個性が肝である、難波笑美や上田鈴帆の魅力を「ライブ」という歌とダンスがメインの場で表現するのはとても難しいと思う。その中で、春野と伊達の「笑顔で見る人を笑顔にする」というアプローチは、とても素晴らしい解答だった。

ラストのMC、伊達が口にした「笑顔の魔法」という言葉は、アニメで描かれた「Power of Smile」にも通じるものだし、アニメ放送のラスト、個性を重んじるプロデューサーが作り上げたライブで重要な役割を果たす描写がされていたのも笑美や鈴帆だった。そして、ハッとしたのが春野の、福岡の初舞台が最初は怖かったのに、ライブが終わったら怖くなかった、そしてSSAを迎える前も怖くなかったという言葉だった。ツアーで経験したことで変化した心境から生まれた笑顔が、さいたまスーパーアリーナの隅々まで届き、観客をも笑顔にする。これこそまさにSerendipity=小さな奇跡なのではないだろうか。

全力で楽しむのみ、という言葉が自分から出てくるとはツアー前には思わなかったという千菅、隅々まで元気をあげるつもりがいろいろな熱をもらってしまったと語った赤﨑、莉嘉に出会えた感謝と喜びを悲鳴のように叫んだ山本。挙げればきりがないが、そのひとつひとつが青木の語った「誰もがシンデレラだったと思います」という言葉の証だろう。

今回の最終公演では、PSVR『アイドルマスターシンデレラガールズビューイングレボリューション』に「Yes! Party Time!!」のEDITモードが追加されることや、ゲームアプリ『スーパーロボット大戦X-Ω』に期間限定で諸星きらり、上条春菜、双葉杏が参戦することなどが発表された。そして、最後に事務員・千川ちひろから発表されたのは最大の、そしてアイドルマスターという作品にとっては特別なニュースだった。

2018年、『アイドルマスター シンデレラガールズ』6thLIVE単独ドーム公演開催決定。

その瞬間、会場は爆発的な歓喜の歓声に包まれた。その会場が東京ドームなのか、アイマスライブ開催実績のある西武ドームなのか、はたまた別のドームなのかは興味は尽きないところだが、ツアーで練り上げたものをさいたまスーパーアリーナという大会場にふさわしく昇華させたチームが、「ドーム」という場で何を見せてくれるのかが楽しみでならない。

ツアーで全国を渡ってきたフラッグはステージに残され、長いツアーが終わってしまった寂しさが残る。だがステージの最後は、センターの彼女が笑顔で、次へと続く言葉で締めくくってくれた。

「プロデューサーさん、シンデレラガールズドーム公演でまた、お会いしましょう!」(大橋彩香)

「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!!」さいたまスーパーアリーナ公演DAY2

M-01 : Shine!! / THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS
M-02 : 熱血乙女A / 赤﨑千夏
M-03 : SUPERLOVE☆ / 山本希望
M-04 : 青空リレーション / 金子有希
M-05 : キラッ!満開スマイル / 朝井彩加・大空直美・金子真由美・髙野麻美・種﨑敦美・津田美波
M-06 : SUN♡FLOWER / 原紗友里・金子有希・春野ななみ・山本希望・佳村はるか
M-07 : 輝く世界の魔法 / 大橋彩香・福原綾香・飯田友子・鈴木絵理・竹達彩奈・伊達朱里紗・照井春佳・東山奈央・原優子・安野希世乃
M-08 : エチュードは1曲だけ / 青木志貴・青木瑠璃子・今井麻夏・千菅春香・長島光那・村中知・ルゥ ティン
M-09 : cherrymerrycherry / 大空直美
M-10 : つぼみ / 藍原ことみ・金子真由美・伊達朱里紗・長島光那・安野希世乃・ルゥ ティン
M-11 : Love∞Destiny / 青木志貴・青木瑠璃子・大空直美・金子有希・津田美波
M-12 : Near to You / 青木志貴・朝井彩加・金子真由美・髙野麻美・種﨑敦美・千菅春香・松田颯水・山本希望・佳村はるか・ルゥ ティン
M-13 : Snow Wings / 大橋彩香・福原綾香・原紗友里・長島光那
M-14 : To my darling… / 竹達彩奈
M-15 : ラヴィアンローズ / 照井春佳
M-16 : リトルリドル / 青木志貴・朝井彩加・山本希望
M-17 : We're the friends! / 原紗友里・藍原ことみ・青木瑠璃子・赤﨑千夏・今井麻夏・大空直美・金子有希・津田美波・長島光那・春野ななみ・村中知
M-18 : One Life / 千菅春香
M-19 : PANDEMIC ALONE / 松田颯水
M-20 : Nocturne / 飯田友子・千菅春香・東山奈央
M-21 : 銀のイルカと熱い風 / 今井麻夏・大空直美・鈴木絵理・照井春佳・原優子・村中知
M-22 : Treasure☆ / 大橋彩香・福原綾香・原紗友里・青木瑠璃子・佳村はるか
【Serendipity Medley!!!】
M-23 : お願い!シンデレラ -JAZZ Rearrange Mix- / THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS
M-24 : ギャル友達が歌う「Radio Happy」 / 金子真由美・山本希望・佳村はるか
M-25 : 猫好きが歌う「おねだり Shall We ~?」 / 長島光那
M-26 : 風色メロディ ~For Mio rearrange Mix~ / 原紗友里
M-27 : ましゅまろ☆キッス ~For Riina rearranged Mix~ / 青木瑠璃子
M-28 : ヤンキーが歌う「Can't Stop!!」 / 原優子
M-29 : 小悪魔による「絶対特権主張しますっ!」 / 藍原ことみ・髙野麻美・ルゥ ティン
M-30 : オトメ達が歌う「ススメ☆オトメ ~jewel parade~」 / 金子有希・津田美波
M-31 : お嫁さんにしたいアイドルNo.1による「エヴリデイドリーム」 / 種﨑敦美
M-32 : フレッシュな「GOIN'!!!」 / 朝井彩加・伊達朱里紗・春野ななみ
M-33 : ROCK THE BEATが歌う「Lunatic Show」 / 青木瑠璃子・安野希世乃
M-34 : ダークイルミネイト飛鳥「華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~」 / 青木志貴
M-35 : 女神による「ヴィーナスシンドローム」 / 飯田友子
M-36 : ブルーナポレオンによる「Nation Blue」 / 今井麻夏・東山奈央・長島光那
M-37 : アブナイ炎陣による「Absolute NIne」 / 金子真由美・千菅春香・原優子・村中知・安野希世乃
M-38 : new generationsによる「Trancing Pulse」 / 大橋彩香・福原綾香・原紗友里
M-39 : パッションが歌う「咲いてJewel」 / 金子有希・鈴木絵理・伊達朱里紗・松田颯水・佳村はるか
M-40 : クールが歌う「明日また会えるよね」 / 福原綾香・今井麻夏・千菅春香・村中知・ルゥ ティン
M-41 : キュートが歌う「君にいっぱい☆」 / 朝井彩加・大空直美・種﨑敦美・津田美波・照井春佳
M-42 : お願い!シンデレラ -JAZZ Rearrange Mix- / THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS
M-43 : ∀NSWER / 朝井彩加・松田颯水
M-44 : Jet to the Future / 青木瑠璃子・安野希世乃
M-45 : ラブレター / 大橋彩香・種﨑敦美・津田美波
M-46 : 情熱ファンファンファーレ / 原紗友里・赤﨑千夏・金子有希
M-47 : Tulip / 藍原ことみ・飯田友子・髙野麻美・佳村はるか・ルゥ ティン
M-48 : 純情Midnight伝説 / 金子真由美・千菅春香・原優子・村中知・安野希世乃
M-49 : サマカニ!! / 赤﨑千夏・鈴木絵理・伊達朱里紗・東山奈央・春野ななみ
M-50 : 夢色ハーモニー / THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS
【ENCORE】
EC-01 : EVERMORE / 大橋彩香・福原綾香・原紗友里・朝井彩加・今井麻夏・大空直美・金子真由美・鈴木絵理・伊達朱里紗・千菅春香・東山奈央・松田颯水・佳村はるか・ルゥ ティン
EC-02 : M@GIC☆ / 藍原ことみ・青木志貴・青木瑠璃子・飯田友子・金子有希・髙野麻美・種﨑敦美・津田美波・照井春佳・長島光那・原優子・春野ななみ・村中知・安野希世乃・山本希望
EC-03 : お願い!シンデレラ / THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS

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