赤ちゃんはなぜ泣くの? ボディランゲージが教えてくれる赤ちゃんの気持ち(画像はイメージ)

「どうして泣きやんでくれないの?」「どうしたらよく寝てくれるの?」。特に初産のママ・パパであれば、言葉を伝えられない赤ちゃんの様子に、不安になったり、どうしたらいいか分からなくなったりしてしまいがち。赤ちゃんの気持ちが分かったらいいのに……と思うことも、あるのではないだろうか。

そんなママ・パパの願いをかなえてくれるかもしれないのが、アメリカ・ノースカロライナ大学病院のJan Tedderさんが開発した「HUG Your Baby 育児支援プログラム」(Help,Understanding,Guidanceの略)。"ボディランゲージ"から、赤ちゃんの状態や気持ちを読み取ることができるという。

今回は、聖路加国際大学とエイデンアンドアネイが、出産を控えた妊婦・家族を対象に行っているセミナーの内容を紹介しよう。

赤ちゃんがいる3つのゾーンを理解しよう

同プログラムは、家族看護を専門とした上級実践看護師(ファミリーナースプラクティショナー)、Jan Tedderさんによって開発されたもの。学術論文の内容などがベースとなっていて、海外では、子育て中のママ・パパに赤ちゃんのことを知ってもらうためのツールとして活用されているという。

このプログラムを正式に日本へ導入し、自ら日本語訳も手掛けたのが、今回セミナーで講師を務めた聖路加国際大学大学院 看護学研究科の新福洋子 助教だ。同研究科の飯田真理子 助教、新福 助教の元で学んだ保健師の手嶋文香さんも、ともに参加者への説明にあたった。

左から、聖路加国際大学大学院の飯田真理子 助教、新福洋子 助教、新福 助教の元で学んだ保健師の手嶋文香さん

プログラムによれば、赤ちゃんには3つのゾーンがあるという。

睡眠ゾーン: 眠っているゾーン
準備ゾーン: 遊んだり飲んだりする準備ができているゾーン
再起動ゾーン: むずかったり/泣いているゾーン

多くのママ・パパが悩むのは、「再起動ゾーン」と呼ばれる状態だろう。これは、音や光などといった"外からの刺激"、疲れ、空腹、眠れない・起きられないなどといった"内からの刺激"が過剰になることで、起こるそうだ。

「お母さんのおなかの中で静かに過ごしていた赤ちゃんは、温度の変化や視覚的な情報、にぎやかな音など、たくさんの刺激に対応する能力が未発達。おっぱいを飲むことや眠ることに影響が出てしまいます」。

そんな"刺激過多"の状態を示す、赤ちゃんの「SOSのサイン」を読み取ることで、むずかったり、泣いたりする「再起動ゾーン」が防げることもあるというのだ。

SOSのサインとは

「SOSのサイン」とは、一体どのようなものなのだろうか。プログラムによれば、ここで言う「SOS」は「Signs of Over Stimulation」の略であり、以下のような状態があげられるという。

・肌が赤くなったり、白くなったりする
・震えたり、体がピクピク動いたりする
・不安定で不規則な呼吸になる

また、ぼーっと遠くを見つめたり、目をそらしたり、目を閉じたりすることもある。これは、赤ちゃん自身が視覚からの刺激を減らすために行っている行動でもあるそうだ。

「SOSのサイン」について説明する新福 助教

これらのサインが見られた時は、赤ちゃんが落ち着くまで目をそらしたり、おくるみで包んでゆらしたり、胸や指、おしゃぶりなどを吸わせたりしてみよう。もしかしたら、落ち着きを取り戻してくれるかもしれない。

しかし、それでも赤ちゃんが落ち着かず、泣いたりむずかったりした場合、ママ・パパはどのような対応をしてあげたらいいのだろうか。次ページで紹介する。