Appleは米国時間8月2日、2017年第3四半期決算を発表した。売上高454億ドルは前年同期比7%増、1株あたりの利益は1.67ドルとなり、前年同期比17%増となる好成績。決算全体と、全ての製品カテゴリにおいて、増収、販売台数増を記録した。

2017年第3四半期決算報告より

今回の決算で目立ったのは、「iPadの販売台数の復活」だ。久々の1,000万台を超える1,142万4,000万台の販売を記録し、数年にわたる長い下落トレンドに歯止めをかけた可能性がある。

Appleの屋台骨のビジネスとなっているiPhoneについても、アナリストの予測を上回る販売台数となる4,102万6,000台を報告し、販売台数減の傾向に歯止めをかける形となった。今回は、iPhoneカテゴリについて、決算を詳しく見ていこう。

事前のアナリストの予想の平均は、iPhoneの販売台数は4,070万台であったことから、発表の上振れに、米国の株式市場だけでなく、日本のiPhone関連株にも買い注文が広がった。

ウォールストリートでささやかれていた「スーパーサイクル」という言葉についても、さほど気にしなくて良いのではないか、という認識が広がったきっかけともなった。「スーパーサイクル」とは、大きな買い替え需要を喚起する可能性を予測するものだった。

この言葉が生まれたきっかけは、iPhoneのビジネスモデルと密接に関係している。Appleは、iPhoneに対して、およそ2年という買い換え周期を作り出し、端末デザインと機能の発展をそのペースに乗せてきた。つまり、新規ユーザーの獲得と買い替え需要の双方を狙っていくことで、新モデルのiPhoneの販売台数を増やし続けるペースを作ってきたのだ。

ところが、iPhone 7でそのレギュラーサイクルに異変があった。2016年モデルのiPhone 7は、2014年に発売したiPhone 6、2015年に発売したiPhone 6sからデザインが変化しなかったのだ。

もちろんiPhone 7はプロセッサやカメラ、主要な構成要素の進化は果たした。しかしデザインは、Apple製品に対する人々の期待が大きい要素でもあり、それが変わらなかったことが、買い替え需要の喚起に影響する、との見方が広がっていた。実際、中国市場の低迷は、iPhone 7が代わり映えしなかったことを反映した結果と言えるだろう。Appleが2017年にリリースするiPhoneが大きく進化するとの噂が広まったことも手伝って、iPhone 7をスキップしてiPhone 8を買い求める人々が増えるのではないかという観測が現在、強まっている。これが「スーパーサイクル」と呼ばれているのだ。

iPhone 8の爆発的な販売台数への期待は、iPhone 7の低迷の裏返しでもある。先進国市場を中心として、スマートフォンの普及率はこれ以上大きく伸長する状況になく、買い替え需要が重要となっているからだ。ところが、2017年第3四半期には、アナリストの予想を上回るiPhoneの販売台数を記録し、「スーパーサイクル」直前であってもiPhoneが堅調な販売を見せていることを、市場にアピールする結果となった。そのため、スーパーサイクルなしでもiPhoneは大丈夫、という安心感が広がった。