競合のAndroidメーカーにとって、非常に不都合な数字が、iPhoneに関する決算発表に含まれている。それは平均販売価格が、さほど伸びなかった、ということだ。

2017年第3四半期に、iPhoneは248億4,600万ドルを売り上げている。4,102万6,000台の販売台数から考えると、iPhone1台あたりの平均販売価格は約606ドルとなる。前年同期は595ドルだったことから、1.7%の上昇となった。

その理由についてカンファレンスコールでは、「iPhone 7 Plusへの人気」を挙げていた。iPhone 7 Plusは769ドルからという価格設定であることから、ベーシックなiPhone 7よりも120ドル高い価格となる。

またこの四半期が始まる直前の2017年3月に、PRODUCT(RED) Special Edition(赤モデル)を発売したことも要因としてあるだろう。赤いiPhoneは、128GB、256GBモデルしか用意しておらず、iPhone 7の649ドルよりも、必ず100ドル以上高い価格で販売されることになる。これはピアノのような光沢を持つ人気のジェットブラックでも同様の施策が採られていた。

という背景からアナリストの予測では、平均販売価格は621ドルという数字が出ていた。しかし、実際の数字はそれを大きく下回っていた。これについて、カンファレンスコールでは、「決算の数字は販売店への販売であることから、ハイエンドモデルの店頭在庫からの販売を加味すれば、平均価格はより高いものになる」と説明している。

つまり、この四半期にAppleが出荷してきたiPhoneは、より価格の安いモデル、ということになる。すなわち、iPhone SE、iPhone 6s、iPhone 6s Plusがそれにあたる。

貢献度高かったのは、実はこの3モデル

iPhoneの販売については、アジア、ラテンアメリカ、中東で前年同期比25%増と販売が好調だったことが報告されている。これらの地域では、もちろんハイエンドモデルの販売も含まれるが、それ以上に価格の安いモデルが台数を上乗せしている、と考えることができる。こうした市場はAppleの競合が支配してきたと考えれば、まだまだシェアは小さいとしても、Appleが新興国でも幅をきかせてきた、と警戒を強めるべき数字の変化、といえるだろう。