最近は痴漢を疑われて逃走するというニュースが頻繁に報じられています。痴漢は卑劣な犯罪で許されるべきでないことは間違いありませんが、運悪く痴漢と間違われたときに命の危険を顧みず逃げるしか方法がないのでは満員電車には怖くて乗れないという人もいるかもしれません。

いざというときにどう対処すればいいのか、すぐに電話でアドバイスしてくれるプロがいるという安心感を得られるのが話題になっている痴漢冤罪保険です。

痴漢被疑者は裁判に持ち込まれたら有罪率が9割!?

痴漢は卑劣な犯罪であることは疑いありませんが、その一方で冤罪に苦しんでいる人も多くいるといわれています。なぜなら、いったん痴漢を疑われて裁判に持ち込まれたら、有罪率が99%といわれるほど、無罪の立証が難しいからです。

たまたまその場に運悪く居合わせたというだけで、下手すると一生を棒に振ってしまう事態になりかねない痴漢冤罪被害。そうした現実をわかっている無実の人か本当に痴漢の犯人なのかはわかりませんが、最近は命を省みずに逃走する痴漢被疑者のニュースを頻繁に目にします。

痴漢冤罪にあったらどうする? (画像はイメージ)

万が一、身に覚えがないにもかかわらず自分が痴漢を疑われてしまったときにどうすればいいのか、そうした不安に備える保険があるのはご存知でしょうか?

痴漢冤罪保険として昨今注目を集めているのは、ジャパン少額短期保険が取り扱う「痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士費用保険」です。この保険は、他人をケガさせたり他人のものを壊したりした場合の損害賠償や、自分が被害者になった際に損害賠償の相談を弁護士に依頼した際の費用や法律相談を利用した際の費用を補償する保険です。

痴漢被害に限らず、幅広く前述の内容を補償する保険ですが、ほかの保険と異なるのは、痴漢を疑われた際に弁護士にすぐに相談ができるというサービスがついている点です。痴漢をしていないのに加害者として疑われた際に、すぐに弁護士の助言が受けられるというのがこの保険の最大の特徴です。

痴漢冤罪の場合、警察に拘束される前にどのような行動をとるかが重要と言われています。やっていないから警察できちんと話せばわかってもらえると思ったのに冤罪となったという話は枚挙に暇がありません。そうした事実が知れ渡っているからこそ、いざというときに無謀な逃走をする人が増えているともいえます。

そうなる前にどのように対応すればいいのか、すぐに弁護士の助言が受けられるというのがこの保険の最大のメリットです。

具体的には、痴漢の冤罪を疑われたときにスマートフォンのヘルプコール利用ボタンを押すと登録されている弁護士の携帯やスマホに一斉メールが送信されます。そのとき対応可能な弁護士から連絡先が書かれた返信メールが届き電話で相談ができるという仕組みです。事件発生から48時間以内の弁護士相談料などが保険で補償されています。

ただし、警察に拘束され被疑者となった後の弁護にかかる着手金などは補償対象外です。また、当然のことながら痴漢の犯罪者が弁護を求めた場合も補償されません。

入っておいた方が安心なケースとは?

痴漢冤罪保険に入ったからといって、もちろん冤罪に巻き込まれることがなくなるわけではありません。あくまでも、身に覚えがないのに疑われた際にどうすればいいのか、すぐに弁護士に無料で相談できるというサービスが受けられるだけのこと。ということをよく理解して加入することが大事です。

ただ、いざ痴漢を疑われたときに逃げる以外にどのような対応ができるのか、とっさに判断できる人はなかなかいないはずです。そうした状況のときに法律のプロがすぐにアドバイスしてくれるというのは、大きな安心につながるのは間違いありません。そうした安心のためにコストを払ってもいいと考える人なら、このような保険に加入する意味はあるでしょう。

注意しなければいけないのは、この保険の痴漢冤罪ヘルプコールサービスは24時間ではないということです。対応してくれる時間帯は土日祝・年末年始を除く平日の7時~10時と17時~24時となっています。その間に電車に乗る可能性が高い人、痴漢が多いといわれる路線で通勤している人などはこうした保険に加入する価値はあるかもしれません。

ちなみに保険料は月額590円(年額6,400円)で保険期間が1年。保障内容は、被害者となった場合の弁護士費用等保険金が最高300万円、法律相談費用保険金が最高10万円、加害者となったときには個人賠償責任保険金で最高1,000万円が保障されていいます。

リスクマネジメントの1つとして、みなさんもこうした保険があることを知っておくといいでしょう。

※画像は本文とは関係ありません。


堀内玲子
ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。