「なければ作ればいい」というMakerの祭典が今年も開催

Makerムーブメントのお祭り「Maker Faire Tokyo 2017」(2017/8/5~6)が今年も東京ビッグサイトで行われた。ここ数年は西館で行われていたが、今年は東7/8ホールと規模を拡大している。今回は、気になった製作物や製品を紹介していきたい。

「きゅうり仕分け機」は第三世代に。実用性でベルトなしに

きゅうりを傷つけると商品価値がなくなるということから、コンベアーを排し、作業台に置くだけで自動判別するようになったきゅうり仕分け機3号。Raspberry Piのみのローカル動作になった

きゅうりの等級と確度、長さが表示される。サンプルのきゅうりは「高等級」の物がなかったような気がする

以前、あちこちで紹介された事があるので、知っている方もいると思うがWorkpilesのきゅうり仕分け機3号が展示されていた。きゅうりは太さや長さ、曲がりの度合いで等級が付けられるが、これを機械学習で判別しようというものだ。

去年から大きく変わったのは全体をRaspberry Piだけでコントロールし外部処理を不要にした事とコンベアによる自動仕分けを止めたところだ。前者は運用コストを考えると妥当だと思えるが、後者に関して伺ったところ「コンベアではきゅうりが傷む可能性がある」というのが大きいそうだ。

展示されていたシステムはあらかじめ3万本のきゅうりで学習されたRaspbery Piを使用し、上からカメラで複数本を撮影。作業台を兼ねている液晶ディスプレイ上に結果が表示されるというもので、載せるだけで自動判別が可能だが、現在の認識率はおよそ80%だそうだ。80%という数字はあまり高くないが、機械による客観的な数値化で不慣れな人の主観を排除できることと、ある程度の判断を機械で行うスピードアップを効果として期待しているようだ。

アイガモ農法を「作る」?

無農薬農業としてアイガモ農法(日中アイガモを田んぼに放して雑草を食べてもらう)というのはそれなりに知られていると思うが、日が暮れてからアイガモを小屋に入れなければいけないとか、「育ったアイガモの処分」など、色々な課題がある。ということで、アイガモ農法に変わるロボットを作ったのがi-GAMプロジェクトのアイガモロボットだ。

ロボットが雑草を食べるのではなく、光合成しなければ雑草が生育しないという極めて単純な原理で、ロボットが田んぼを動き回って「泥で水を濁らせる」という。単純な構造と稲にはダメージを与えない作りがポイントのようだが、先のきゅうり仕分け同様まだ実用化されているものではなく、実際に使われるようになるまではまだまだ超えなければいけない壁が高そうだ。

アイガモ農法代わりのロボット、試作を繰り返したという事なのでおそらく10代目

アイガモ同様に田んぼの中をスイスイと動き回り、その時の水の撹拌で田んぼに落ちた雑草の種の生育を阻止するという原理だ