業務のIT化は進んでも、仕事内容にピッタリなソリューションというのはなかなかないもの。結局は個人レベルで作成したExcelのワークシートが大活躍という現場も多いだろう。そんな中、業務用のカスタム Appを手軽に作成できるというのが「FileMaker Pro 16」の売り文句だ。しかし、本当に手軽に作成できるのだろうか?FileMakerのハンズオンセミナーに潜入して実際のアプリ作成を体験してみた。

業務環境のIT化といいつつ、実際のところは見積もりから請求書・領収書、交通費の申請などに至るまで、あらゆる書類がExcel化されているだけ、ということはないだろうか。気づくと何年も同じファイルに上書きを繰り返しており、そもそも最初に作った人が退職していて、マクロをいじれる人がいなくなってしまい、税率の変更や規格の変更といった変化に対応できなくなってしまった、という例も多く聞く。Excel化の弊害のひとつと言ってもいい。

こうした環境を改善するには、専用の業務システムを導入するという手があるが、専門のシステムは開発に時間もかかるし、業者に委託するのはコストもかかる。といって、市販のパッケージソフトでは細かなカスタマイズができずに使いづらいなど、一長一短だ。

そこで注目を集めるのが「FileMaker Pro」だ。FileMaker ProはExcelのファイルを直接取り込むことができるため、すでに顧客名簿や売り上げ、在庫管理などをExcelのファイルで管理している場合は、それらがすぐにデータベース上で生かせる。そして使いやすいインターフェースと、様々な用途に応える柔軟な設計により、カスタム Appが容易に作成できる。さらにiOS用アプリ「FileMaker Go」によりモバイル環境での利用も可能と、至れり尽くせりだ。

FileMaker Pro 16は6月にリリースされたばかりの最新版。多くの機能が刷新され、さらに使いやすくなっている

そんな魅力に溢れたFileMakerだが、いざ導入を考えてみたとき、「自分の手に負えるだろうか」と尻込みしてしまう人も多いのではないだろうか。いくら簡単だとはいっても、そこは開発要素の強いソフトだけに、ゼロから触ると結構ハマってしまう。体験版をダウンロードしてみたものの、よくわからないまま放棄されるパターンは、まさにこれだろう。

そこで今回、FileMakerが開催している初心者向けのハンズオンセミナーに参加して、実際のアプリ開発の手順を体験してみた。3時間のセミナー中にカスタム Appを製作して、モバイル環境で実際に動かしてみるという。果たして本当に実現可能なのだろうか?