ふたつの銘機が残してきた功績は、これからどんな音楽プレーヤーに受け継がれていくのか。筆者は、それがもうAppleのスマートウォッチ「Apple Watch」にバトンタッチされていると考えている。

もしかすると使っている人は多くないかもしれないが、Apple Watchは本体の内蔵メモリにiPhone経由で音楽ファイルを転送し、Bluetoothで接続したイヤホンやヘッドホンで音楽を聴く機能が搭載されている。iPod nanoの高いポータビリティ、シャッフルを含む便利な音楽再生機能がしっかりと受け継がれた格好だ。

Apple Watch Series 2

音楽再生機能を活用するためには基本的にiPhoneとのペアリングが必要なので、環境を整えるのがiPodほど手軽でないところに課題は残るが、今秋にアップデートされるwatchOS 4では音楽再生まわりの使い勝手もかなりブラッシュアップされる。既にApple Watchを持っている人だけでなく、iPhoneを使っていて、スポーツシーンでも便利に使える音楽プレーヤーを探している人は要チェックだ。

Appleのポータブルオーディオは、今後iPhoneとApple Watchの2つのデバイスに集約されていくだろう。iPhoneと体験または機能がほぼオーバーラップしているiPod touchも、そう遠くない将来に役割を終えるのではないだろうか。

単体のポータブル音楽プレーヤーとしては、復活を遂げたソニーのウォークマンなど、iPodと「音質」で差別化を図ってきたハイレゾ対応プレーヤーも台頭してきた。最大のライバルであるウォークマン「Aシリーズ」の最新機種は、付属イヤホン無しの本体単体であれば2万円台前半で購入できる手頃な価格で人気を集めている。

ウォークマン Aシリーズ

一方のiPod touchも、値下げにより32GBモデルが21,800円(税別)で販売されている。カメラ付きでマルチアプリ対応であるところなど、ウォークマンに比べて特徴的なポイントも多いが、そもそもiPhoneユーザーにとっては、できることがほぼ同じプレーヤーを2台持ちする理由が見えてこないかもしれない。ウォークマンならハイレゾが聴けるし、機能を音楽再生に絞って高めているのでキャラクターが立っている。音楽ファンなら敢えてスマホと2台持ちたくなる理由が見つかるプレーヤーだ。

iPod touch