【インタビュー】

窪田正孝、毎回「空っぽ」になりながらもがき続ける - 『東京喰種』で再確認した世界に逆らいたい気持ち

1 原作者の指名に救われた気持ち

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世界累計3,000万部の発行部数を誇る人気コミック『東京喰種 トーキョーグール』。TVアニメ化、舞台化と様々なメディア展開でヒットした同作の実写映画が、7月29日より公開される。主人公である金木研(カネキ)を演じるのは、原作者の指名で決まった若手随一の実力派俳優・窪田正孝だ。

読書好きの平凡な大学生でありながら、ある事件をきっかけに人間しか食べることのできない喰種になってしまうカネキは、人間でありたいと葛藤しながらも、喰種にも心を寄せるようになり、世界に対して疑問を抱いていく。激しいアクションシーンとともに、葛藤を表す難役に、窪田はどう向き合っていったのか。

■窪田正孝
1988年生まれ、神奈川県出身。『チェケラッチョ!! in TOKYO』(06)でドラマ初出演にして初主演を果たし、同年スクリーン・デビュー。14年、NHK連続テレビ小説『花子とアン』、TBS『Nのために』での演技が評判となり人気を博す。主な映画出演作品に『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(13)、『予告犯』(15)、『ヒーローマニア-生活-』『64-ロクヨン-前編/後編』『MARS~ただ、君を愛してる~』(16)と話題作に出演。本年出演作に『ラストコップ THE MOVIE』(5月)がある。 撮影:宮田浩史

原作が大好きだからこそ、不安に

――今回は原作者の石田スイ先生が、主役はぜひ窪田さんだとおっしゃっていたそうですが。

身にあまる光栄でした。このお話をいただいたときに、断るという選択肢もどこかにあったと思います。すごく大きなチャンスをいただいたと思いながらも悩みながら引き受けたので、原作の先生にそう言っていただいて、すごく救われた部分がありました。ただ、現場に入ってからが勝負で、最終的に役者は一人でやるしかないから、本番が回ったときにどれだけできるかという意識は持ち続けていました。

――その話を聞いたことによって、意識が変わったりすることはありましたか?

心強くはありましたが、不安の方が大きかったです。自分も原作が大好きだから、周りからも「『東京喰種 トーキョーグール』実写化するんでしょ?」「原作が好きだから楽しみ」と言われるたびに耳を塞ぎたくなる気持ちはありました。

試写も石田先生と見たのですが、正直本編は全然入って来ませんでした(笑)。映画ではなく、隣の先生を見ていました。横顔を見ても、微動だにされないから「キャスティングが間違っていたと思われているのかな」とか、勝手に不安になっていました(笑)。

そのあと2人きりにしていただいて、連絡先を交換して、僕自身が思っていることについてお話もしましたけど、大半はなんでもない雑談でした。後日石田先生から、原作を書かれているときに試写の映像をすごく思い返した、という連絡をいただきました。

どこか逆らいたい部分がある

――喰種がどう社会と関わって生きていくか、というのも原作や映画で描かれている部分かと思いますが、もし窪田さんがカネキのように喰種になったら、どうやって生きていきますか? 俳優を続けるとか。

喰種として生きていきたいですね。肉、好きだし(笑)。映画には出てきませんが、原作の月山さんみたいに、美食家になるかも(笑)。でも、魚のソテーはOKで人間のソテーはダメなのかって、考えると作品の原点に行き着くと思うんです。鳥や豚や牛からしたら、僕らこそ喰種なんですよね。人間だけが美しくいることを許されていて、汚い部分は隠されている世界に、逆らっている作品なのかなと思います。

人間の持つ色々な顔を、人間と喰種に置き換えているのかもしれないと思いながら、カネキを演じていました。誰でも、頭の中で誰かを攻撃してしまうこともあると思うんです。そうやって、言えないことを表面化しているのが喰種なのかな、人間と喰種って、背中合わせの部分なのかなと思います。

今、芝居をさせてもらっていると、時代によってどんどん形を変えていかなきゃいけないと感じます。どこか逆らいたい部分が自分にあるからこそ、この作品をやって良かったと思いますし、『東京喰種 トーキョーグール』という看板をお借りして、メッセージを届けることができたのではないかと思います。

――そういった考えは、もともと窪田さんご自身の中にあったのでしょうか?

変な話、役者の仕事をしている時点で、変人なんだと思います(笑)。昔、あるプロデューサーに「いつか必ず、精神崩壊するよ。そのやり方じゃ」と言われたことがあるんですが、それはすごくわかって。役者をやりながら自分の中にあるものをどんどん出していったら、プライベートが本当に空っぽになるんです。自分が何者かわからない。でも、メディアで見てくださる方は役に本人を投影して見てくださっています。

そうやって空っぽになった時に、新しいものを入れなきゃと思いつつ、何も入れたくない、世の中がイヤになったりすることもあります。でも今はやっぱり、その生き方しかできないので、もがき続けるしかないと思っていて、そんなときに『東京喰種 トーキョーグール』で演じたことで、再確認させてもらいました。

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目次
(1) 原作者の指名に救われた気持ち
(2) マスクをつけていても、絶対表情を見せたい
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