東京都渋谷区は9月から、いわゆる「ギフテッド」などの特別な才能を有する子どもらに合わせた新しい教育プログラムを実施する。高い能力を持ちながらもさまざまな理由によって、現在の教育環境に馴染めない児童・生徒の学びの場を確保するのが目的だ。区によると、公教育としてギフテッドに着目したプログラムを行うのは全国でも前例がないという。

日本でもついにスタート! 全国初・渋谷区で始まる「ギフテッド教育」とは(画像はイメージ)

ギフテッドとは? どんな子が当てはまる??

ギフテッドにはさまざまな定義がある。ギフテッド教育に詳しい石角友愛氏の著書『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋刊)によると、ギフテッドとは例えば「知性、創造性、芸術性、リーダーシップ性、または特定の学問での偉業を成し遂げる能力がある個人」(米国連邦政府)、「例外的な論理能力と学習能力の才能を持つ個人」(全米天才児協会)、「未訓練かつ自発的に表に出る自然な能力のこと」(ギフテッド教育心理学の研究者)などと考えられているという。

渋谷区はギフテッドについて「全般的または特定の分野で高い能力を発揮する子ども」と定義。このうちプログラムの対象となるのは、小学3年生から中学3年生に在籍し、(1)特別支援教室拠点校の巡回指導教員による指導を受ける児童のうちニーズのある児童、(2)情緒障害等通級指導学級に在籍する生徒のうちニーズのある生徒、(3)長期欠席児童・生徒のうち本人と保護者がプログラムへの参加を希望し校長がこれを認める者、となる予定だ。

このように当初の想定では、極めて高い能力を持ち、かつ学校にもうまく適応している子どもは含まれていない。高い能力があることそれ自体やコミュニケーションが苦手であることなど、なんらかの理由で不適応が認められる児童・生徒が対象で、まずはこれらの子どもへのプログラム提供を優先する。

その上で、上記に当てはまらない子どもも含む特別な学級・学校などについては、ニーズがあれば来年度以降に設立の可否を検討するという。

講義、ディスカッション、実践型など多彩なプログラムの内容

プログラムの内容は、東京大学先端科学技術研究センター(先端研)と連携して開発する。先端研は日本財団と共同で「異才発掘プロジェクト ROCKET」を2014年から実施している。ROCKETは、やはり突出した能力を持ちながら現在の教育環境に馴染めずに不登校傾向にある小中学生が対象のプログラム。「テクノロジー」「美」「科学的思考」「コミュニケーション」「プレゼンテーション」「ビジネス」の6つを柱として、各界で活躍するトップランナーによる講義やディスカッション、実践型の教育プログラムなどを提供している。

区でもこのノウハウを取り入れて進めるといい、「体験を通して知識を俯瞰すること」、「プロジェクトを通して物事の進め方を学ぶこと」、「トップランナーの生き方に学ぶこと」などを想定。「例えば、コミュニケーションが少し難しくても理数系に類いまれな能力を持つ子がいるとします。その場合、自然に詳しい専門家のプログラムを通して得意分野を伸ばし、かつ自信をつけることで問題解決をしていく意欲やスキルを学ぶ、というような内容が考えられます」と担当者は話す。

さらに具体的な内容については今後、対象となる子どもが決まってから、その子らに合わせて案を練っていくという。渋谷区は9月1日にキックオフイベントを予定している。イベントの詳細は8月1日付けの区報で発表される。