iMac Proの名前が出たが、Appleのネーミングルールでは、無印と「Pro」の製品展開へと収斂させている様子が伺える。iPhone 7sとiPhone 8と現在は呼ばれているが、iPhoneについても「Pro」という名称を用いることも考えられよう。

MacBookに対してMacBook Pro、iPadに対してiPad Pro、iMacに対してiMac Pro、そしてMacシリーズの最高峰としてのMac Proと、非常にシンプルになった。MacBookシリーズ、iPadシリーズについては、それぞれ人気を博していたMacBook Air、iPad Airシリーズがメインストリームから外れようとしている。

iPad ProについてはPCの代替という役割を持たせ、より幅広い人々向けのメインコンピュータ、という位置づけを色濃くしているが、それ以外の「Pro」モデルは、より高い性能が必要なユーザーに向けた製品として、特別な性能に対してプレミアムな価格を設定している。

もしiPhoneに対しても「Pro」の呼称を用いる場合、iPhone 7sに比べて、プレミアムなスペックを設定したいところではあるが、前述の通り、プロセッサの性能などに関して大きな差を付けることは、開発者コミュニティの利益を考慮すると避けるべきだろう。

もう一つの可能性は、iPhone 「Edition」だ。

Editionは、Apple Watchシリーズで用いられている名称であり、2015年の発売時には「Apple Gold」とも言われる素材から開発した18金のApple Watch Editionとして登場した。また2016年発売のApple Watch Series 2に用意されたApple Watch Editionでは、Appleとしては新たに採用する白いセラミック製の素材を用いたモデルを登場させている。

いずれも、通常のApple Watchシリーズよりも高い価格が設定されており、プレミアムモデルとしての位置づけとなっていたが、搭載されているプロセッサやディスプレイなどはその他のモデルと共通とされていた。

iPhone Editionについても、主要な機能はiPhone 7sと共通化しつつ、特別なディスプレイやカメラなどを備える仕様として登場させるパターンが考えられる。

長く暑い夏を過ぎたあたりに、Appleが発表会を開き、新しいiPhoneを披露することになるが、既にまだ見ぬ新型iPhoneは、スマートフォンだけでなく、テクノロジー業界をはじめとしたビジネスシーンにおける話題を席巻する存在となっている。

その意味で、既に競合製品に対して勝利していると行っても良い。それだけに、Appleにとっては、失敗できないというより大きなプレッシャーがのしかかっているのではあるが。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura