決算会見に臨むNTTドコモの吉澤和弘社長

近年、好決算を出し続けていたNTTドコモに変化が訪れた。ドコモが27日に発表した2017年度第1四半期決算では、営業収益が1兆1,367億円で前年同期比2.5%増だったものの、営業利益は2,783億円と同7%減少した。ドコモに何が起きたのか。

償却方法の変更が大きく左右

ドコモによると、営業利益の減少要因は大きく分けて2つあるという。ひとつが昨年度に開始したウルトラパック、子育て応援プログラムによるお客様還元施策によって減益となったこと、もうひとつが償却方法の見直しだ。償却方法の変更を特殊要因とみなした場合、前年同期比で営業利益は50億円の減少にとどまると説明する。

セグメント別にもう少し細かく見ていこう。ドコモには通信事業とスマートライフ事業という2つのセグメントがあるが、一部気になる指標はあるものの、こちらも問題はないようだ。

通信事業は営業収益が前年同期比294億円増加の9,243億円。基本戦略として、スマホ利用者数を増やして通信収入を上げ、ドコモ光の契約者数を増やしてARPUを上げ、解約率の上昇を回避することにあるが、いずれの指標も良好だという。スマホ・タブ利用数は同9%増の3653万契約、ドコモ光の契約数は同1.9倍増の384万件で好調、ARPUも同270円増の4,600円となっている。解約率については、0.05ポイント上昇の0.67%となったが、こちらは2年前に販売促進をかけたタブレットの解約に伴う特殊要因と位置づけている。

スマートライフ事業の営業収益は2,201億円で変わらずだが、これは子会社の取引形態の変更に伴う計上方法の変化によるものとし、こちらも会計上の問題としている。

ドコモはどう捉えているか

とはいえ、減益は減益。ドコモが現状をどう捉えているか気になるところだが、どうやら想定内のことに過ぎないようだ。

ドコモの吉澤和弘社長は「対前年同期で"減"というのは計画通り。年間の業績予想に対して第1四半期は順調」と話す。さらに償却方法変更の変更は第2四半期決算まで続く見通しとしており、上記の償却方法の見直しの影響により、第2四半期も数値は期待できないようだ。ただし、帳尻は合わせるとし、「引き続きコスト削減に取り組む。成果は下期に出てくることになる。最終的には年間の業績予想は確実に達成していく」(吉澤氏)と力を込める。

いくつかの指標には変化も見えるが、ドコモ自身が大きく気にとめる感じはない。通期見通しに変更もない。外部環境を見ると、MVNOの勢いが増し、KDDIがそのための対抗プランとして組み合わせ次第で月額1980円から利用できるプランを発表したばかりだが、こうした新料金について「追随は考えていない」(同氏)という。auユーザーが得する「三太郎の日」のような施策についても、還元するならdポイントを活用して「買い物ができる方向に」(同氏)とする。

今回の決算説明会では外部環境についてのコメントは少なくあくまで内部要因についてのものが目立つ。吉澤氏のコメントどおり、上期はいい数値が出せないとしており、第3四半期の決算でどれだけのものが出せるかに注目が集まるといったところだろうか。