今最も勢いのあるバラエティ番組と言えば、破天荒ディレクター・"ナスD"が活躍するテレビ朝日系『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』(毎週火曜23:15~)だろう。

ナスDは、生魚を頭から丸ごと食べたり、ハチに顔面を5カ所も刺されても飄々と笑っていたりするなど、視聴者に強烈なインパクトを与えて話題を集めているが、番組の"満足度"はどのような傾向にあるのか。データニュース社が運営する視聴状況調査「テレビウォッチャー」で膨大なデータと日々向き合う研究員が分析した。

●「テレビウォッチャー」満足度調査概要
・対象局:地上波(NHK総合、NHK Eテレ、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)
・サンプル数:関東1都6県、男性1,200+女性1,200=計2,400 ※回収数は毎日変動
・サンプル年齢構成:「20~34歳」「35~49歳」「50~79歳」各年代男女各400サンプル
・調査方法:毎日モニターにテレビ視聴に関するアンケートを同じアンケートモニターへ配信、データを回収するウェブ調査
・採点方法:最高点を「5」とし、「3.7」以上を高満足度に基準

"ナスD"ことテレビ朝日の友寄隆英氏=同局提供

この番組は、お笑いコンビ・バイきんぐの小峠英二をMCに据え、世界のさまざまな文化やミステリー、絶景、グルメなどを紹介するドキュメントバラエティ。その1コーナーである、世界の部族に密着潜入していく「部族アース」の担当ディレクターがナスDだ。

ナスDの正体は、テレビ朝日の友寄隆英氏。この愛称は、部族の取材中、美容に効くと聞いて、一生落ちないという染料を自ら全身に塗ってしまい、肌が"ナス色"になってしまったことに由来する。

こうしたワイルド過ぎるエピソードのほかにも、生魚を釣り上げた瞬間にまるかじりしたり、民芸品の"ピラニアキーホルダー"(干したピラニアをキーホルダーにしたもの)をバリバリ食べたりと、取材先の部族にも引かれるほどムチャクチャな言動が注目を集める。まさに"テレビサイズに収まらない"を、芸人でもないディレクター本人が体現しており、そんな姿が飽和状態のバラエティに新風を巻き起こしていると言える。

そんな中、今月2日には、日曜日のゴールデンタイムという激戦区の時間帯でスペシャルを放送。裏のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』や「都議選特番」、そして今最も視聴率が高く、同系統の世界系バラエティ『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)などの強豪がひしめく中、視聴率9.6%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録した。『イッテQ』は18.2%だったが、いきなり2ケタ近くをマークするのは大健闘だ。

そして、「テレビウォッチャー」の満足度は4.06と高満足度の基準3.7を大きく超え、なんと『イッテQ』の3.84を上回る結果となったのだ。『イッテQ』も高満足度の基準を上回っており、高いレベルでの争いが繰り広げられていることが分かる。