世界中のエンジニアが直面している課題は、概念としてはシンプルなものの、実現するには極めて複雑です。それは、「解決できない問題を解決すること」です。さらに、それだけでは飽き足らず、この「解決できない問題」を従来よりもはるかに短期間で、少ないリソースで解決することも期待されています。家庭用サーモスタットのテストを例に考えてみましょう。はるか昔に使われていたサーモスタットは、単なるバイメタルコイルでしたが、現代のサーモスタットは、湿度・温度センサから、ワイヤレス回路、動作検知まで、さまざまな技術の融合体となっています。そのため、このシステムの検証には、さまざまな計測器やセンサ、さらにソフトウェアに関する高度な専門知識が必要です。ですが、エンジニアは一体どこから手を付ければよいのでしょうか。

ぱっと見登れそうになさそうな山を前にしたとき、エンジニアは頂上に辿りつくために必要なステップを割り出すのは困難だと思うかもしれません。エンジニアリングでも、複雑なシステムを計測・テストするために最も抵抗が少ない経路を見つけ出すのは困難を伴います。最終的には、各ステップで得た効率を合計したものが、登頂までに要する労力の総計になります。

これを、エンジニアリングでのタスクリストに置き換えてみましょう。アプリケーション全体の共通タスクを簡素化することで、エンジニアリングシステムの開発、導入、管理に必要な時間が短縮できます。エンジニアリングシステムという山の頂上に到達するには、重要なマイルストーンが4つあります。それは、「コアコンセプトの実装」「システムの設定」「データの分析」「未知なるものへの備え」です。

図1. 時間とコストをうまくトレードオフするには、共通のタスクを簡素化し、結果までの時間を最小化することが重要

コア技術の概念の実装

ナイキストの標本化定理から比例・積分・微分(PID)アルゴリズムの係数に至るまで、エンジニアリングの基礎的な概念をアプリケーションに正確に実装することは重要です。しかし現在では、コア技術の概念に関する知識があるだけでは不十分です。これらの概念を、カスタムロジック作成用のツールやプログラミング構造のセマンティクスの範囲内で実装しなければならないのです。

LabVIEW NXGでは、LabVIEW固有のグラフィカルなデータフロープログラミングパラダイムではなく、計測データの収集、解析、表示用に新しい非プログラミングワークフローを導入しています。そうすることで、以下によってもたらされるさまざまな課題を回避することができます。「新しいツールの使用」、「ソフトウェア言語のコーディング」、「エンジニアリング理論の実装」、さらに「環境へのネイティブ学習システムの統合」。この学習システムでは、上記の3つの側面を1つの環境にまとめて学習させます。また、これらの新機能を初めて使用する際、ヒントやコンテキスト情報をポップアップ表示して、ワークスペースの使い方をナビゲートします。ループ構造やデータ型、並列処理通信などのプログラミング概念の簡単な説明が必要な場合は、ユーザを環境に慣れさせながら、説明が行われます。

その概念がどのように役立つのか、なぜ役立つのかについて詳しく知りたい場合は、内蔵の対話式レッスンを見てみましょう。各レッスンにはサンプルコードとワークブックがあり、コードの背景にある理論を説明するリッチメディアコンテンツによって概念を学習する際の手がかりとなります。

図2. LabVIEW NXGは、高度に統合された学習体系を備えており、フラストレーションの軽減、生産性の向上、学習曲線の最小化につながります