前置きが長くなったが、ホテルの施設をチェックしてみよう。共用スペースについてはあとにするとして、まずは気になる寝室から。

寝室をひと目みて、「これまでのカプセルホテルとはだいぶんに異なるな」というのが正直な感想だった。一般的なカプセルホテルは、その名のとおりカプセルが並び、しかもカプセルが2階建てになっていることが多く、天井が低いので立つことはできない。

だが、ザ・ミレニアルズでは各寝室が壁で仕切られている仕様で1階建て。天井高2.3mと、十分に立って着替えられる高さを確保している。これはもはやカプセルとは別物で、グローバルエージェンツによると「スマートポッド」と呼称しているそうだ。

ベッドも幅120cmのセミダブル仕様で、同社によると米国シェア1位のSerta(サータ)製ポケットコイルマットレスを採用したという。実はこのベッドには仕掛けがある。電動で背もたれがチルトアップ・ダウンするのでベッドとしてもソファとしても利用可能。室内で立てると先述したが、ソファ型にしたときにそのスペースが生じる仕組みだ。ユニークなのは、このベッドのリクライニングを使ったアラーム機能を有していること。設定した時間になるとソファ型に変形するので、いわば“強制的アラーム”といえる存在だ。マクラも硬さが異なる2種類が用意され、好みのものを使用できる。

セミダブルサイズのリクライニング式ベッド。マクラが2つあるが一人用。ベッドの下はトランクケースが入るキャビネットになっている(写真右)

ターゲットを意識した寝室のディテール

寝室にはミレニアル世代を意識した点がいくつか見受けられた。まず、コンセントだが、ベッドの横に4口、上部のラック横に2口、計6口も用意されている。デジタルデバイスを複数活用するユーザーにはありがたい仕様だろう。

また、チェックイン時にフロントからわたされるスマホもこの世代を意識したものといえる。このスマホのアプリにより、前出のベッドのリクライニングや照明コントロール、アラームの設定が行える。ビジネスホテルなどでは、こうした操作はベッドに組み込まれたコントロールパネルで行うことが多いが、手元のスマホで済むという寸法だ。

ベッドの横に4口、ラック横に2口のコンセントを用意。チェックイン時にわたされるスマホでリクライニング調整やアラームが設定できる

スマートポッドでは、引き下げ式のカーテンを閉めることでプライベートな空間を生み出すが、ここにも工夫がある。一部の寝室の天井にはプロジェクターがつり下げられており、このカーテンに80インチクラスの映像を投影できる。全室テレビは用意されていないが、ネット動画を楽しみたいというユーザーニーズに応える。テレビではなくネット動画というところに、ミレニアル世代を意識した感がうかがえる。

天井につり下げられたプロジェクター。ベッド正面のカーテンに映像を映せる。音声は個人で用意したヘッドホンを使うのが原則