なか卯が親子丼をリニューアルして27日から販売をスタートする。親子丼に今までなかった特盛を加え、値段はそのままに既存のミニ、並、大盛の鶏肉を25%増量させる。テレビCMも28日から放映する。なぜ今になって親子丼に力を入れるのか。

親子丼をリニューアル。写真手前が特盛。特盛(650円)には生卵がつく。ミニ(350円)、並(490円)、大盛(550円)は価格据え置きで鶏肉25%増しに

なか卯は何屋か?

なか卯は何屋か? これは答えを知るための問いだ。

なか卯は1969年に創業。当初は手作りうどんのお店として始まったが、今日に至るまでに、メニューを増やしてきた。親子丼のほか、海鮮ちらし丼、和風牛丼、カツ丼、うな重、プレミアムビーフカレー、すだちおろしうどん、冷やし坦々うどんなど様々なメニューを用意している。まとめれば、丼物とうどんのお店となろうが、親子丼を推すのは、「なか卯は何屋か?」という問いに明確に答えたかったからだという。

なか卯が親子丼を始めたのは1994年。以降、メニューが増えようとも、親子丼は主力であり続け今日まで販売してきた。経営者が交代して方針が変わろうとも、親子丼はなか卯にとって重要な存在であり続けた。親子丼のなか卯というイメージを作り上げてきた。

しかし、それは内部的な見方に過ぎなかったのかもしれない。筆者の周囲になか卯のイメージを聞いてみたところ、牛丼屋と答えた人が多く、カツ丼、うどん、といった声も聞こえたきたが、親子丼はなかった。筆者自身も牛丼推しかと思っていたほどだ。

これが答えだ。親会社のゼンショーホールディングス広報室によると「やっぱりメインは親子丼というところを打ち出したい。今回のリニューアルで、なか卯は親子丼のお店なんだと、再認識していただきたい」と話す。

だからこそ、値段は据え置きながらも、ミニ、並、大盛の鶏肉を増量させ、声優の水樹奈々さんを起用したテレビCMを関西を中心に放映する。コストはかかるが、それでも、なか卯が何屋なのかを浸透させるのに必要な出費ともいえるだろう。

日本初の親子丼チェーンに!?

別の見方をすれば、ゼンショーホールディングスの傘下には、牛丼のすき家があり、そこと明確にイメージを分けたかったという考えもあったのかもしれない。

もうひとつ別の見方をすれば、親子丼で有名な初の外食チェーンになろうということかもしれない。なか卯は現在、全国463店舗(うちFC店は13)。この規模で親子丼をメインに据えるチェーンは存在しない。牛丼、カレー、寿司にはチェーンが存在するが、親子丼にはないのだ。

今後も様々な丼物の販売を続けていくが、イチ推しは親子丼だ。今回の取り組みを通じて、"親子丼のなか卯"というイメージを浸透させることができるだろうか。