“米国でもっとも成功したジャパニーズコンテンツ”とも言われ、日本で生まれ、アメリカで育ったハイブリッド型ヒーローを、ハリウッドで大型プロジェクトとして映画化した『パワーレンジャー』が7月15日に公開に! 新たにパワーレンジャーとしてスーパーヒーローになる宿命を負う5人の若者たちは、それぞれに現実的な問題を抱え、スーパーヒーローとして相応しい人間になろうともがくキャラクターが実に斬新だ。本作のメガホンを握ったディーン・イズラライト監督は「それこそが重要だった」と語るが、その真意とは!?

ディーン・イズラライト監督

――5人の若者がヒーローに選ばれただけじゃダメで、ヒーローになるために努力をしなければいけない描写を重点的に描いていて、とても興味深く拝見しました。

それこそがまさに、この映画で強調している部分で、監督をしたかったポイントでもあったよ。この映画は、どうやってスーパーヒーローになっていくかという成り立ちを語る映画であって、キャラクターが中心の映画だからね。スーパーヒーローはあくまでもキャラクターのメタファーであって、彼らが肉体的にも精神的にも成長して大人になっていく過程を、スーパーヒーローになっていくことで描いている。だから、実際に変身する瞬間は遅くて、映画の最後のほうに持っていくことになったのさ。

――なかなか変身しないなと観ていて思いましたが、そのことも狙いだったということに途中で気が付きました(笑)

スーパーヒーローの映画なのに映画の3分の2を過ぎてから変身するって、かなり大胆なことだとは僕も思うけれども、そうでもしないとアクションとアドベンチャーの映画にはならないと思ったよ。おかげで、この映画はとてもユニークなものになったと思うよ。

――その一方で、敵のキャラクターがコミカルに映るシーンもあるなど、シリアスなだけではなかったですね。そのサジ加減については、どういう感覚を持っていましたか?

それは撮影や編集をしながら見つけていったポイントだけれど、いいバランスは、コミカルな部分が、このキャラクターならばありというキャラクターにとってリアルなものであれば、映画で観ていてもおかしくないと思ったかな。

――話を戻しますが、最初の質問でスーパーヒーローになるための努力が要るという話をしましたが、それはどの人にも当てはまる普遍的なテーマですよね。そのテーマについて、自分自身に当てはめて考えたりなどは?

僕は自分のことをスター監督とは思っていないよ。もちろんあこがれている監督は何人かいて、彼らのことはスター監督だと思っている。そこへの道のりは長いと思っているけれど、この規模の大作を撮ったということで、以前よりはいい監督になったという自信はついたかな。特に今回の『パワーレンジャー』では撮りながら学んでいったことも多かったので、ものすごくいろいろないい経験をさせてもらったよ。マラソン選手になって、自己新記録を出したような感じかな。

――ちなみに目標としている監督は、どなたですか?

リドリー・スコット、スピルバーグ、ロバート・ゼメキス、今の人で言うと、デヴィッド・フィンチャー、クリストファー・ノーランなどかな。独特で革新的なものがある映画で、大きなキャンパスではあるけれども、実質がある映画を撮りたいと思っているよ。

――本作は、いろいろな世代の人に向いている映画だと思いましたが、監督としては、どういう人たちに観てほしいですか?

若い人たちに観てほしいかな。主人公はティーンエイジャーで、彼らが成長していく話なので、その年代に近い人たちにおすすめなのかなって思う。これはキャラクター重視の映画なので年上の人たちも楽しめると思うので、ぜひ観てほしいです。

■プロフィール
ディーン・イズラライト
南アフリカ出身。ロサンゼルスのアメリカン・フィルム・インスティテュートで映画、演劇、文学を専攻した後、美術学修士号を取得する。2014年、自身で脚本を書き上げたパラマウント映画配給のタイムトラベル・アドベンチャー『プロジェクト・アルマナック』(日本未公開作)で監督デビュー。数々の映画祭で上映され、3つの学生エミー賞などを受賞した。本作は、映画監督作2作目。

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