二重の手術でいえば、実は明治時代から行われていたという。ただし、当時の技術力ではいかにも「整形しました」というような仕上がりになり、やればやったと騒がれてしまうため、「隠れて行うもの」とされてきた。手術自体も女優など特殊な職業の人からのニーズが多く、一般的なものではなかったという。

かつての美容医療は限られた人たちにのみ行われていた

そのようにみられていた美容医療は、直近30年ほどで一気に身近な存在となった。「絶対に安全」ということはありえないものの、手術法のバリエーションや医師の技術力が大幅に進歩。高い安全性とナチュラルな仕上がりを両立できるようになった点に加え、費用も低く抑えられるようになったことが美容外科手術への抵抗が薄れた理由と言えるだろう。

また、昔は「二重手術は切開しないと元に戻る」と言われ、メスを入れるのが一般的だった。だが、ある時期から糸で止めるだけの縫合法という手術法が主流に。縫合法は次第に元に戻りやすいが、そのことが「元に戻るから大丈夫」「戻ったらそこで手術を考えればいい」などの気軽なイメージを生み、美容外科へのハードルを低くしたとも言われている。

美容外科へのハードルは現在、低くなっている

「少し物足りない」ぐらいがよい?

元に戻せるという気軽さで人気のプチ整形。二重だけでなく、鼻筋をシュッとみせるヒアルロン酸注入や、微笑み顔やシワのない肌をキープするボトックス注射など、年々施術を受ける女性が増えている。しかし、この「元に戻る」という売り文句、本当に信じてよいのだろうか。

「ヒアルロン酸やボトックス注射は、一般的に言われているように時間の経過とともに体内に吸収され、元に戻ります。しかし、中には吸収されにくい未承認の注入物を使うクリニックもあり、それによって炎症反応が起こる人がいるのも事実。どんな施術も絶対に安全ということはありませんが、少しでもリスクを回避するなら、やはり『吸収しない』を売りにする製剤は使わないほうがよいでしょう」

ボトックスに関しては、基本は数カ月で元に戻るが、何度もやると少し筋肉が萎縮すると言われているという。やりすぎると表情が乏しく、不自然に見えることもあるので、ほどほどがよいとのこと。

「プチ整形は効果もプチ」と言われるが、同時にリスクもプチなところが魅力とも考えられる。「効果を上げよう」と思えば思うほど、リスクは高くなる。「少し物足りないな」と感じるところでやめるのが、いくつになっても素敵と思われる秘訣ではないだろうか。

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