あの番組をうっかり聴き逃してしまった…そんな失敗をしても、テレビ番組の「見逃しサービス」のように使えるサービスが、実はラジオにもある。スマートフォンやパソコンでインターネットを経由してラジオ番組を楽しむことができるradiko(ラジコ)には、こうした聴き逃しサービスをはじめ、好きな番組を楽しむツールとして、ラジオ好きの人にはもちろん、かつてはラジオを聴いていたが最近はすっかりごぶさたしている人にも、そしてラジオビギナーにも、知っていたら使えそうな機能が多い。

そんな中、マイナビニュース編集部に、読者から「radikoで過去のラジオ番組が聴けるようになりましたが、どれぐらい使われていますか?」という声が寄せられたので、サービスを運営する株式会社radikoの青木貴博社長に詳しく説明してもらった。

――聴き逃しサービスはいつから始まり、現在、どれぐらいの人が利用しているのでしょうか?

パソコンやスマホでもラジオを聴けるラジコの新たな機能「タイムフリー」として、2016年10月11日から始まりました。まだ1年足らずですが、毎月徐々に利用者が増え、現在、月間250万人の方に使っていただいています。直近のアンケート調査結果では、40代男性を中心に、10代、20代、30代の割合も増えていることが分かりました。スマートフォン経由から聴かれている方は8割を超え、夕方から夜の時間帯での利用率が高いです。

――以前からポッドキャストでも番組を後から楽しむことができますが、「タイムフリー」との違いは何でしょうか?

決定的な違いは、radikoがサイマルだということです。つまり、編集がされていませんから、ラジオCMが入ることもあり、ライブ放送と同じような感覚で過去1週間以内であればいつでも聴取することができます。ただし、制限があり、番組を再生した段階から聴取できる時間は3時間に限らせてもらっています。一部の番組も配信されていませんが、各方面で調整され、実証実験としてラジオ番組を後から楽しむことができるサービスを実現しています。

――どのような番組がタイムフリーでよく聴かれているのでしょうか?

若い方からは「深夜番組」がよく聴かれています。ジャンル別では「有名タレントやミュージシャンの番組」がライブ放送よりも多く聴かれていますね。「DJ・パーソナリティの選曲による音楽番組」も人気があり、オンエア曲情報もライブ放送と同様にチェックすることができると好評です。

――「タイフフリー」で最もよく聴かれた番組があれば教えてください。

『オールナイトニッポン』を担当する星野源=DJパーソナリティ賞を受賞した「第54回ギャラクシー賞」授賞式(2017年6月1日)より

今年3月20日夜に放送された民放ラジオ101局特別番組『WE LOVE RADIO! ~山下達郎・星野源のラジオ放談』が、群を抜いてよく聴かれました。山下達郎さんはTOKYO FM系列『山下達郎のサンデー・ソングブック』で約25年もラジオ番組を続け、星野源さんはニッポン放送『オールナイトニッポン』のパーソナリティを務めています。コアファンの世代が違うお2人が対談するということで話題性を作ることができ、ライブ放送で約16万人、タイムフリーで約15万人の聴取人数を記録しました。ポジティブに聴きにいってくれた方の人数がこれだけいたということは評価できる数字だと思います。

星野源さんの『オールナイトニッポン』は普段から聴取数が高く、radikoのライブ放送とタイムフリーを合わせて平均して、7~8万人の方に聴かれています。星野源さんだから聴いているという方もいらっしゃると思いますが、結局はラジオ番組としての面白さも備わっているから人気があるのでしょう。ビックパーソナリティの誕生ですよ!

――radikoの画面上に「シェア」というボタンがありますが、これはどのような使い方があるのでしょうか?

自分のお気に入りの番組や友だちが気に入りそうな番組をソーシャルメディアのTwitter、Facebook、LINEを通じて「お知らせ・共有」ができる機能になります。受け取った相手は、表示された番組URLをタップすると、radikoが起動し、番組が流れるという仕組みになります。ラジオ番組そのものを友達と共有する手段はこれまでなかったものになりますから、新しい文化を作っていくことになります。現在は1カ月で5~6万件のシェアにとどまっていますが、広告よりもむしろ友だちのオススメの方が効果が高い時代に、もっと活用して拡散してもらえることを期待しています。

――「タイムフリー」に並んで、場所を越えて聴取ができる「エリアフリー」という機能もありますね。

はい。「タイムフリー」「ライブ」「エリアフリー」の3択から聴き方を選ぶことができます。エリアフリーは日本全国のラジオ局を聴くことができるサービスで、通常のradikoとは異なり、有料のプレミアム会員の登録が必要になります。会員になれば月額350円(税別)で全国のラジオ局が聴き放題です。プロ野球全球団の試合中継も、地元の懐かしい番組も、エリア外で放送されている好きなアーティストの番組も追っかけることができ、国内旅行や出張の時でもなじみのある番組が聴けます。

――radikoで新しい聴取の仕方が提供されることによって、ラジオ番組に変化をもたらすようなこともあるのでしょうか。

サービスが開始されて約7年。エリアや時間を越えて聴けるようになり、友だちにも手軽に番組を送れるようになりました。放送局もradikoを使ってうまく拡散しようという意識に変わっています。番組の作り方にも変化がみられます。SNSで話題になるものを想定してインパクトがある話題や企画をコーナー展開している放送局が増えています。より一層ラジオの楽しみ方を盛り上げるため、radikoでは今、リコメンド機能が実装できるよう準備を進めています。無料で入れる会員組織も計画し、好きなタレントやアーティストの名前やキーワードを設定しておくと、自動的にその番組が始まった時にお知らせできるような便利さも追求していきます。


民放ラジオ局、放送大学の番組に限られていたradikoに、いよいよNHKの参加も検討されている。ラジオの新たなインフラとしての役割をradikoが担っているようだ。早速、聴き逃してしまったあの番組を、試しに聴いてみたらいかがだろうか。