BMWの日本法人であるビー・エム・ダブリューは、プレミアム・コンパクトのブランド「ミニ(MINI)」として史上初となるプラグインハイブリッド車(PHV)を日本市場に投入する。新たな選択肢が加わったPHVという車種だが、日本での普及に弾みはつくのだろうか。

日本市場に登場する「MINI Cooper S E Crossover ALL4」

フル充電で42.4キロのEV走行が可能

ミニから登場するのは「MINI Cooper S E Crossover ALL4」というモデル。いわゆるコンパクトSUVのような「クロスオーバーモデル」のクルマで、価格は税込みで479万円だ。パワートレインは1499ccの直列3気筒ガソリン・エンジンと電気モーターを搭載。2つを合わせた総合出力は224PSとなる。

PHVの大きな強みは、外部充電により電気自動車(EV)同様のモーター走行が可能な点だ。ミニのPHVは、フル充電で最大42.4キロのEV走行ができる。自宅に充電できる環境があり、クルマでの日々の移動距離が往復で40キロ程度なのであれば、基本的にはEVとして運用できるのがこのクルマの特徴だ。ちなみに、フル充電には200V電源で約3時間を要する。

フロントグリルには「MINI Cooper S」であることを物語る「S」のマーク。その色は電気でも走行可能なPHVであることを示している

BMW電動化の先鞭をつけたのはミニ

PHVを充電して見せるロカ氏

PHVの発表会に登壇したビー・エム・ダブリューMINIディビジョン本部長のフランソワ・ロカ氏によると、ミニはBMWグループで初めてクルマの電動化に取り組んだブランドなのだという。BMWでは2008年にEVを手掛ける判断を下し、まずはミニで600台を生産・販売してマーケットの反応を探った。この動きがBMWのEV「i3」などにつながっている。

そんな歴史を持つミニが、ついに投入する初のPHVは、同社の「未来を広げる」クルマだとロカ氏は語った。ミニでも将来的にEVを投入する方針だという。

すでに日本市場に登場しているPHVには2つの方向性があり、国産車は「燃費効率」、輸入車は「パフォーマンス(加速などクルマの性能)」を打ち出しているというのがロカ氏の分析だ。ミニは既存の方向性を追わず、独自の「ライフスタイル」を打ち出すことに注力するという。