日本市場では、主に家電量販店において、ポータブルルーターとのセット購入でPC価格を割り引く商法がある。呉波氏は「日本だけの商習慣」とするが、5万円ほどの割り引きが行われることが多く、これを利用してより高額で高機能な製品が選ばれる傾向があるという。

MateBookでは、価格だけで勝負するのではなく、イノベーションによって商品の魅力を高めて新たな需要を喚起したい考えた。現在、日本のPC市場は縮小傾向だが、これは3年前にファーウェイがSIMフリー市場に参入したときの、タブレット市場が同様の状況だったと呉波氏は振り返る。当時も一貫したユーザー体験の提供とイノベーションの継続を掲げ、Androidタブレット製品を提供してきた結果、今年に入ってタブレット市場は縮小から反転し、呉波氏は今後もこの傾向が継続するとみる。

同様のことを、PC市場でも再現しようというのが狙いだ。PC市場が縮小している一番の理由として呉波氏は、「技術革新に乏しく、新モデルを出す回数が減っている」と指摘。消費者が新しいPCを買おうと思っても

「2年前に買ったPCと本質的な違いを見いだせないため、購買意欲が薄れている」(呉波氏)。

呉波氏自身、今後1~2年はPC市場の縮小は継続すると予想している。そうしたなか、新たなユーザー体験の提供とイノベーションの継続で消費者のライフスタイルに変化をもたらし、PCを含めたスマートデバイスの利用を促進していくことで、PC市場の活性化を目指す。

また、日本の法人市場に関してだが、初代MateBookは法人市場を想定しておらず、法人からの問い合わせはあったものの、家電量販店やオンライン販売が主力だった。MateBook XやMateBook Eでは、Core i5とCore i7モデルを投入したことで、法人市場で求められるパフォーマンスが確保できるようになった。そこで、8月には法人向けモデルも投入し、法人市場に本格参入する計画だ。

すでにファーウェイは法人向けにサーバー製品を展開しており、法人市場に対して「第一歩を踏み出している」(呉波氏)。今回のMateBookによって「第2歩」を進め、法人、オンライン、家電量販店での販売割合が3割ずつになることを期待しているそうだ。

とはいえ、現時点ではPC販売に関して「明確な数値目標は立てていない」(呉波氏)という。PC業界では新規参入のため、呉波氏は「基盤をしっかり築いて、細かいところもちゃんとやって、消費者に気に入ってもらえれば口コミで利用者が拡大していくものだと思っている。まずは製品に触ってもらって、技術革新とか最先端の技術、他社との違いを体験して欲しい」と結んだ。