厚生労働省はこのほど、平成28年(2016年)版の「働く女性の実情」を公開した。同書は、政府や研究機関などの各種統計調査を用いて、働く女性の状況を分析した報告書で、1953年から毎年公開されている。同資料で公開されている働く女性の実情を見ていこう。

労働力人口、就業者、雇用者の状況

「働く女性の実情」では、前述の通り、厚生労働省の調査資料だけでなく、総務省や文部科学省、内閣府などの資料も紹介。これら資料をもとに、働く女性の実態と特徴、地域別にみた女性の就業状況をまとめている。

賃金構造基本統計調査や職業安定業務統計

「労働力人口及び労働力人口総数に占める女性割合の推移」

まず、総務省「労働力調査」によると、2016年の女性の労働力人口は2,883万人と、前年に比べ41万人増加した。一方、男性は9万人増の3,765万人となり、結果、労働力人口総数は前年より50万人増加の6,648万人となった。労働力人口総数に占める女性の割合は、43.4%(前年差+0.3pt)。

「雇用者数及び雇用者総数に占める女性割合の推移」

雇用者数は、男性雇用者数は前年比31万人増の3,197万人、女性雇用者数は前年比57万人増の2,531万人となり、雇用者総数に占める女性の割合は44.2%(前年差+0.3pt)となった。労働力人口、雇用者数ともに、女性の割合は年々増加傾向となっている。

女性雇用者数を産業別にみると、「医療、福祉」が594万人(女性雇用者総数に占める割合23.5%)が最も多く、次いで「卸売業、小売業」503万人(同19.9%)、「製造業」294万人(同11.6%)、「宿泊業、飲食サービス業」210万人(同8.3%)という結果に。前年に比べ、「医療、福祉」(前年比+2.8%)、「卸売業、小売業」(同+1.6%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(同+3.5%)で大きく増加した。

なお、雇用者数に占める女性比率(雇用者総数に占める女性の割合)が5割以上の産業は、「医療、福祉」(76.5%)、「宿泊業、飲食サービス業」(63.3%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(59.8%)、「教育、学習支援業」(55.2%)、「金融業、保険業」(54.1%)、「卸売業、小売業」(51.7%)となっている。

「男女別完全失業者数の推移」

完全失業者数は、女性が82万人となり、前年に比べ6万人減少(前年比-6.8%)。男性は8万人減少(同-6.0%)し、126万人となった。完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)については、女性2.8%、男性3.3%となり、男女ともに0.3pt低下した。