説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「写真」アプリで編集すると、画質が低下するの?』という質問に答えます。

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『写真』アプリにかぎらず、JPEGフォーマットの写真に変更をくわえて保存すると、オリジナルの状態からわずかながら劣化します。撮影時点の画質を可能なかぎり維持したい場合には、写真を編集すべきではありません。

その理由は、JPEGという画像フォーマットが非可逆圧縮(ロッシー)だからです。JPEGでは離散コサイン変換という方式によりデータ圧縮が施されますが、そのとき容量を小さくすることと引き換えにわずかながらオリジナルの情報が失われます。失われた情報を復元する方法はなく、いちど劣化した画質は劣化したままです。写真の再圧縮を繰り返す、つまりJPEGの編集/上書き保存を繰り返すと、その品質は次第に低下していきます。

JPEGは画像を小さなブロックに分割して変換処理を行うため、圧縮率を高める(パーセンテージを低くする)とブロックの境界に格子状のノイズ(ブロックノイズ)やざわついたようなノイズ(ブロックノイズ)が発生してしまいます。数回再圧縮したくらいでは目立ちませんが、一部分を拡大表示すれば気付くことでしょう。

ただし、『写真』アプリでJPEGに90度回転をくわえた場合は例外です。JPEGは、メタデータ(EXIF)を修正し、データの並べ替えで縦横を入れ替えるという方法で回転処理が可能だからです。再圧縮処理を伴わないため、劣化はありません。

ところで、スリープボタンとホームボタンの同時押しで作成する「スクリーンショット」は事情が異なります。スクリーンショットのフォーマット「PNG」は可逆圧縮(ロスレス)のため、圧縮前のデータと圧縮/展開を経たデータは完全に一致します。スクリーンショットについては、劣化を気にせず編集できます。

90度回転処理を除けば、写真(JPEG)に編集をくわえると画質は若干低下します