わずか1時間で終了した株主総会

シャープが、2017年6月20日に、大阪府堺市のシャープ本社において開催した第123期定時株主総会は、昨年の株主総会の様相とは一変した内容になった。

鴻海傘下に入って初めての株主総会。大阪市内から離れ、最寄りの駅からはバスなどに乗り継がなくてはならない不便な堺市の本社での開催。出席した株主数は、798人と、前年の1029人に対して、8割程度になった。

株主総会の会場になった大阪堺市のシャープ本社

だが、数年前の株主総会では、会場となった大阪市中之島のグランキューブ大阪での開催について、「場所が不便」と、株主から不満の声が出ていたが、今回の株主総会では、それに比べても遙かに遠い場所での開催にも関わらず、そんな不満を口にする質問は一切出ず、株主からは、「国際社会で生きていくシャープになったことを喜んでいる」、「戴社長には、将来、会長に就任しても、日産のカルロス・ゴーン氏のように、一日も長くシャープに関与してほしい」といった声のほか、「健康に気をつけてください」と、体調を心配する声まであがっていたほどだ。

昨年の株主総会は、社長および役員一同の謝罪から始まり、怒号が飛ぶなかで進行され、3時間23分の過去最長を記録したが、今年の株主総会は1時間7分で終了。この短さは、2002年の50分に次ぐものとなった。2002年は、液晶テレビの立ち上がり時期と重なり、シャープの前途は揚々。当時は、株主からの質問も1件だけだったという。今回の総会では、6人が質問。前年の延べ19人から大幅に減っており、その点からも、株主の安堵感が伝わる。

株主総会終了後には、午後2時から、株主を対象にした経営説明会を開催し、株主の質問に回答。経営に対する評価と、今後への期待の声が目立った。

株主総会終了後には、戴社長と握手したり、記念撮影をする株主が長い列を作っていたことも、2016年8月に鴻海傘下となって以降の再生の成果に対して、株主が高く評価していることを示したものだといえる。

6年間液晶事業が大赤字だったのは、経営の専門知識の不足から

シャープの業績回復に関して、同社の戴正呉社長は、次のように、自信を持って振り返ってみせた。

「2016年4月時点のシャープはバラバラだった。そこで私はまず、『OneSHARP』をスローガンに掲げた。社員がひとつになることが大切であり、社員に対して、毎月、社長メッセージを出すようにした。社長メッセージのメールを読む社員の数は、毎月着実に増えている。そして、信賞必罰の考え方のもとで、賞与や社長特別賞を出している。給与も2回アップした」などとする。