【レポート】

5歳がタイムリミット!? 子どもの将来を決める「非認知能力」の育て方

前回は「子どもの脳にいいこと、悪いこと - 脳科学者が教える頭のよい子に育てる習慣」として、主に記憶力や頭の回転といった学力につながる「認知能力」を紹介した。ここでは近年、幼児教育の観点で注目を集めている「非認知能力」の育て方について紹介したい。

非認知能力をのばすためにはどうしたら……?

非認知能力は社交性、意欲、忍耐力といった特性のことで、将来の社会的な成功にも大きく影響する大切な能力なのだが、脳科学者・川島隆太教授は、その非認知能力が5歳までに決まってしまうと語る。では、どのようにして育めばいいのか? 同氏にその方法を伺った。

世界的にヒットしたゲーム"脳トレ"こと『脳を鍛える大人のDSトレーニング』の開発者でもある川島教授は、日本における脳研究の第一人者。今年4月に刊行した著書『頭のよい子に育てるために3歳から15歳のあいだに今すぐ絶対やるべきこと』(アチーブメント出版)では、現代社会で陥りがちな子どもの脳への悪影響、それを回避するために親がすべきことを提唱しており、同書では「非認知能力」の育み方も解説している。

「非認知能力」の重要性

「脳科学の観点で"頭のよい子"とは、『認知能力』と『非認知能力』が優れていることを指します。頭の回転や記憶力など学力に影響する『認知能力』に対し、『非認知能力』は主に人との繋がりに関係する"脳の心"とも言える能力です。これまでの研究により、この非認知能力は5歳までの間に決まることがわかっています。この点、幼児期はこの『非認知能力』を育てることに力を入れた方がいいでしょう」

非認知能力は5歳まで決定する

わが子の将来に大きく影響する能力であり、なおかつタイムリミットが決まっているとあれば、川島教授が話すように幼児期はこの「非認知能力」を伸ばすことに尽力したい。

「非認知能力」を伸ばす方法

「非認知能力」を育てる方法は、親子のコミュニケーションを中心とした様々な体験活動。川島教授いわく、「今風に言えば"リア充"であることが大切です」とのこと。具体的には、下記を習慣化することが有効だという。

・朝食を一緒に食べる
「"子どものやる気を引き出すためにはどうしたらいいか"というテーマで、小学生を対象に調査を実施した結果、子どもの意欲に最も影響をもたらしていたのは"親子で朝ご飯"でした。近年は子どもに一人で食事をさせている保護者も多いのですが、ちゃんと家族そろって毎朝ご飯を食べることが子どもの学習意欲を高めます

・絵本の読み聞かせをする
「昔から"読み聞かせをすると頭がよくなる"というのはよく言われますが、読み聞かせはスタートであり、ゴールではありません。実は読み聞かせをしている親の脳にはいい刺激がもたらされるのですが、子どもはそうでもないのです。ただ、習慣化することによって自主的に本を読む子に育ちますし、何よりコミュニケーションの点で幼児期の非認知能力の向上には効果的です」

・一緒に料理をする
「習慣として"一緒に何かをする"ということを続けていくのが重要。例えば"一緒におでかけをする"でもいいのですが、毎日出掛けられるとは限りませんので、習慣化することは難しいでしょう。その点、料理や掃除など生活に密着した事柄ならば、毎日続けやすいと思いますのでおすすめです」

・いいことをしたら速攻で褒める
「相手の顔を見て褒めることが、子どもの"やる気"に関わる脳の部位を刺激します。なおかつ、その場ですぐ褒めるという即時性がより子どもの脳にいい刺激を与えることがわかっています。『お母さん、〇〇できたよ』と言われたら、『料理をしてるからちょっと待ってね』と後回しにするのではなく、すぐに褒めてあげるといいでしょう」

かつては当たり前だった「朝食を一緒に食べる」という習慣も、今では共働きで忙しいといった理由により、毎朝一緒に食事をしている家庭は少なくなっている。このように、「当たり前が当たり前ではなくなっていることが、子どもの脳へ悪影響を与えています」と川島教授は語る。生活習慣を見直し、毎日の子どもとのコミュニケーションを心がけることで、子どもの"脳の心"を温かく育んでほしい。

※写真はイメージで本文とは関係ありません

筆者プロフィール: 川島 隆太(かわしま りゅうた)

東北大学加齢医学研究所所長、スマートエイジング国際共同研究センター長。東北大学大学院医学研究科修了、スウェーデン王国カロリンスカ研究所、東北大学加齢医学研究所助手、講師、教授を経て、2014年より同研究所所長。任天堂DSゲームソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」、学習療法を応用した「脳を鍛える大人の音読ドリル」シリーズ(くもん出版)などで一躍時の人となった。人間の脳活動のしくみを研究する「脳機能イメージング」のパイオニアであり、脳機能開発研究の国内第一人者。研究で得た知見を産学連携に応用、その実績から総務大臣表彰、文部科学大臣表彰。『脳が活性化する大人のおもしろ算数脳ドリル』(学研プラス)、『頭のよい子に育てるために3歳から15歳のあいだに今すぐ絶対やるべきこと』(アチーブメント出版)など著書多数。

頭のよい子に育てるために3歳から15歳のあいだに今すぐ絶対やるべきこと
(1,300円・税別/アチーブメント出版)


"脳トレ先生"川島教授の最新脳研究でわかった、"子どもの脳にとって最高の食事"、"声のかけかた"、"睡眠のすべて"。そして、脳発達を阻害しないためのスマホ、テレビ、ゲームとの付き合い方。3歳から15歳の子どもをもつ親が絶対に知るべき賢い脳を育てる絶対の法則がわかる一冊となっている。
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